献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

あ……そうか。
そういう設定にしろっていう意味か。

「そうなんですか? 日野さん」

驚いてそう尋ねたのは若林さんだった。
ここはそうだと答えれば、どちらからも解放されるのかもしれない。

「うん……そうなの」

これが最善だと思い、求められている返事をした。

西野さんたちは言質を取ったとばかりに「ダメですよー先輩」「彼氏いるのにどうしても来たいって言うんですもんね」と追い討ちをかけるが、もちろんそんなことは言ってない。

でもいい、甘んじて受けるんだ。
そうするのがきっといい。

覚えのないことで責められながら「もちろん私たちは、日野さんと違ってフリーですよ」と比較する形で彼女たちは話を進めていく。
今日は私はその役割なのだ。
それでいい、わかった。

「そうなんだ」

穂高さんは少し低い声でそうつぶやいた。
どうしてだろう、西野さんたちに貶められるのは大丈夫なのに、彼に落胆されると心が苦しい。
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