献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「私たちずっと穂高さんと話してみたいなぁって思ってたんです。日野さんのところじゃなくて、こっち来て話しましょうよ」
西野さんたちは皿をよけてお誕生日席のスペースを作り、そこを手のひらで示す。
穂高さんがそこへ移動して、私はまたひとりになるのだろう。
もう、それでいい。
テーブルに目を落として縮こまり、存在感を消した。
私はここでひとりで──。
「いや、いいよ。俺、日野さん狙いだから」
しかし前方から聞こえた穂高さんの言葉に、頭を上げざるを得なかった。
……え。
今、なんて言ったの?
聞き間違いかと思いを穂高さんを見上げると、彼はまっすぐに私を見つめていた。
「え!?」
一番に声を上げたのは西野さんたちで、その後男性陣も「マジっすか!?」と声を上げる。
若林さんが「穂高さん、女の噂聞かないって有名だったのに……」と意外な情報をこぼしながら、私たちを交互に見た。
「うん。日野さんめちゃくちゃ俺の好み。ほかの子はべつに、興味ないかな」