献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
素敵な人だな。
今日お話できただけで、すごくよかった。
合コンでのことはショックだったけど、穂高さんのおかげで明日から気持ちを切り替えられそうだ。
不思議なことに、私の頭の中には彼に対してそれ以上のことを望んではいけないというストッパーがきちんとついている。
今夜は素敵な出来事だったということで、お開きになる。
そして明日は何事もなかったかのように、取引先としての関係に戻るだろう。
そんなことを考えていたとき。
私の前のテーブルに、スマホを持った彼の手が差し出された。
「連絡先、交換しない?」
「え……」
「吐き出したくなったときは俺に連絡して。話くらい聞くから」
彼のブラックのスマホはバーコードリーダーのカメラ画面になったため、私は慌ててスマホ取り出し、自分のバーコードを表示させる。
読み取ってもらうと、初期設定であるシルエットアイコンの穂高さんから、その場で【穂高です】というメッセージが送られてきた。