献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「めちゃくちゃ甘ったるいエッチがしたい」
居酒屋を出てから──。
A4のファイルが入る通勤用のバッグを肩に掛け、五センチのヒールのパンプスを履いた足のまま、私は穂高さんとラブホテルに来ていた。
まだ足がもつれて、自分がなにをしようとしているのか実感が湧いていない。
「日野さん酔ってる? 大丈夫?」
私の意識がはっきりしていることは見てわかるはずなのに、彼はわざわざ確認を入れた。
「……う、うん。大丈夫」
穂高さん、どういうつもりなんだろう。
本当に私とエッチをする気なのだろうか。
彼はきっと経験豊富なのだと思う。
TLみたいなエッチが好きというのは意外だったけど、慣れているからこんなにスマートにできるのだ。
私は経験あると言ってもすべてがトラウマのようなもので、穂高さんを満足させられる自信はまったくない。
……というか。
仕事以外でまともに会ったのは今日が初めてなのに、そんな状態で、私も彼も今から本当にエッチをする気なの?