献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
なんだか自分が自分じゃないみたい。
穂高さんは無理やり関係を迫ったわけではなくただ提案をしただけなのだから、私は断れなかったというわけではない。
きっと、私も好奇心に逆らえなかったのだ。
TLみたいなエッチがしてみたい。
お互いを思い合える幸せなエッチがあるというのなら、少しでいいからその気持ちよさを味わってみたい。
穂高さんなら、と思ってしまった。
「シャワー浴びる?」
「うん」
心の準備をする時間が必要だと思い、彼の言葉に従ってシャワーを浴びた。
しかしシャワー中も、水の音にかき消されることなく変わらず胸の鼓動が鳴り続けている。
交代で彼を待っている間も、ドキドキして死にそうだった。
シャワーを終えて、私と同じバスローブ姿で戻ってきた穂高さんは、少し顔が火照っていた。
彼は掠れた声で「おまたせ」とつぶやく。
今まで見えなかった足首や筋のある男らしい腕、ワックスのとれた艶のある髪。
いつもの穂高さんじゃない。プライベートの穂高さんだ。
それも、夜の。
「日野さん。大丈夫?」
「あっ……」
私の座るベッドに彼も片膝を乗せ、こちらへ迫る。
見つめ合いながら、今さらだけど怖くなってきた。
こうやって迫られると命令が飛んできて、それがどんなものかいつも怯えていた。
染み付いたその感覚がまだ抜けない。
「キスしてもいい?」
ピクンと体が揺れる。
今にも押し倒せる体勢の彼は、溶けそうな瞳で私を捉え、許可を求めてきた。
戸惑いはあったけど、嫌な気持ちはなかった。
キスを尋ねてくれるくらいだから、乱暴なことはされないという安心感さえ覚える。