献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

唇を舌で探られ、私は〝きた〟と心の中でつぶやく。
慎重に開いてみると、彼の舌がぬるりと侵入してきた。

「ん……ふ、はぁ……」

甘くて頭がボーッとする。

清澄くんはキスをしていて楽しいだろうか。
男の人は、はやく気持ちいいことがしたいんじゃないの?

ホテルでの熱烈なキス、佳恋と颯斗が初めて体を重ねた第一話を思い出す。
想いを隠し合ったままのキスにドキドキが止まらなかった。
焦げ付くような恋心を秘めた佳恋と体を先に繋げることになったというのに、颯斗は彼女に夢中でキスをしたのだ。

それだけで満たされた気持ちと、切ない欲望が伝わってきて、読んで入る方もキュンと心が疼く。

それを再現しているような、清澄くんのキス。
まるでずっと片想いをしてきて、今日やっと待ちわびたキスをするチャンスがやってきたような、長く甘いキスだ。
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