献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
西野さんたちは先日のことで清澄くんに対して腹が立っている部分があるようで、彼にも不満げな視線を向ける。
すると、清澄くんはその視線に微笑みを返した。
「こんにちは。西野さん、松島さん」
「えっ」
ふたりは突然彼に話しかけられ驚いていたが、私もびっくりした。
合コンで一瞬紹介されただけなのに、ちゃんと名前を覚えていたなんて。
これには西野さんたちも鋭い表情がすぐに緩む。
「あっ……こんにちは」
「この間はごめんね。俺、若林から合コンだって聞かされてなくてさ。疲れてたから抜けちゃった」
「あ! そうだったんですね! 日野さん狙いだっておっしゃってたからてっきりお持ち帰りになったのかと……!」
「まさか! 全然そういうんじゃないよ。日野さんのこと巻き込んじゃって俺も悪かったなって思ってたんだ。ごめんね?」
首をもたげた清澄くんは、私を上目遣いで覗き込む。
……抜けたかっただけだったの?
ホテルまで行ったのも、私を巻き込んだ手前すぐに解散できずに罪滅ぼしのつもりだったのだろうか。