献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
◇◇◇
俺は自宅マンションに戻り、鞄を定位置に置いてからソファへと腰を沈める。
「……はぁ」
昂ったものを一刻も早く鎮めたくなったが、この感覚を欲にまみれたものに変化させたくなくて、足を組んで余韻に浸った。
少しずつでいいんだ、少しずつで。
この調子で……。
しばらく心を落ち着かせていると、腰のポケットの中のスマホが振動した。
このタイミングの着信は愛莉からかもしれないと思いすぐに取り出したが、画面には【麗奈(れいな)】と表示されていた。
甘い余韻は一気に冷め、通話に出るか数秒迷ったが、結局四コールで出ていた。
「……なに?」
『あ、清澄? ねえねえ、今度の土曜東京行くんだけど、夜泊めてくれない?』
「なんで。無理。用事ある」
『えー、私が行くのに? 用事なんてキャンセルしてよぉ。久しぶりに一緒に寝てあげるからぁ』
「うるせぇな」
甘えるような猫なで声に苛立ちながら、立ち上がって冷蔵庫にミネラルウォーターを取りに行く。
『清澄んちのお風呂広いし、湯船入るからチェリーのバスボム買っておいてくれる? あとトリートメントかヘアマスク、女性用のなければ買っておいて』
「だから泊めないって言ってるだろ」
『もう。なら一緒にお風呂入ってもいいけどー?』
「勘弁しろよ……」