献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

TLヒロインのような子はどこにもいない。
そう思い、霹靂していた。

そんな中、担当しているヨツバの事務員である愛莉をひと目見て、衝撃を受けたのだ。

雰囲気や表情、にじみ出る空気など……説明しがたいが、とにかく佳恋にそっくりだった。
佳恋とは違うとわかっているが、彼女を目にするたび気になってしまう。

話せば声も想像していた佳恋のものとそっくりで、言葉遣いや性格も似ている。
だから合コンで鉢合わせたときは黙っていられなかった。
面倒だから適当に合わせてさっさと抜けようと思っていが、席に着けば俺のヒロインが虐められているというシリアス展開になっており、ヒーローの作法を嗜んでいた俺は咄嗟に助けていた。

愛莉はトラウマのせいか人を否定できず、臆病で、だが謙虚で一生懸命だ。
不器用で人を傷つけない代わりに自分が傷ついている。

そんなの放っておけるはずがないだろ。
彼女は俺のヒロインだぞ。
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