献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「清澄くんの行きたいところは……?」
「俺はクラゲ見たいな。癒されるだろ。ライトアップシアター行っていい?」
「う、うん。もちろん! 私も行きたい」
「じゃあとりあえず行こうか。あとは時間と体力次第で追々決めればいい」
立ち止まっていた私たちは流れに乗って再び歩きだした。
はぐれてしまわないように彼に近づくと、ふいに手を繋がれる。
「デートだから。いいよね」
「……うん」
水族館も楽しみだけど、こうして電車に乗ろうとしているだけでドキドキしてくる。
いつもは相手のために私が計画を立てて、疲れていないか、ちゃんと楽しんでいるかを気にしていたんだけど。
清澄くんは私が何も考えなくてもスムーズに決めてくれる。
全部回らなくてはいけないとかっちり決めているわけでもないから、気が楽だし。
清澄くん、きっとデート慣れてるんだ……。
その恩恵を受けて幸せな気分になっているわけだが、少し複雑だ。
どうしてだろう?