献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~


午後七時。

アジアンマーケットの露店で食べ歩きをしたため、改めて夕食を食べるほどお腹は空いていない。
ディナーはなしで、次に行く場所とくれば、ついにホテル。

「楽しかったな」

待ち合わせの駅の外に着き、夜景に変わった都内の真ん中で、清澄くんは総括する一言をつぶやいた。

「うん。私も本当に楽しかったよ。……ありがとう」

「こちらこそ、一日付き合ってくれてありがとう。家まで送るよ」

……あれ?
終わりなのかな。
てっきり今日もホテルに行くものかと思っていたんだけど。

あ、そうか。
もしかして、私の家に行ってからだろうか。

「あ、えっと……」

掃除はしてあるけど、急なことで、おもてなしの準備まではできていない。
ペットボトルのお茶とか、袋入りのお菓子とか、つまらないものしかなかったはず。
ああ、お洒落なものを用意しておけばよかった。
私ったらどうしてそこまで考えが及ばなかったんだろう。

こうなることを予想して、男性もののアメニティとか歯ブラシとかも買っておくべきだったのに。
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