献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

この会社にたくさんいる彼のファンたちと、私の彼に対する気持ちは違っていると思う。
見た目も性格もスマートで、自然体で、女性なら誰でも憧れてしまう存在だけど、私はたぶん、人間として、穂高さんのことが羨ましい。
私はああはなれない、まったく別の人種だと思っている。
だからこうして取引先として顔を合わせるからと彼に気にかけてもらえる立場になると、気恥ずかしいし、面白いことも言えずに申し訳ないと感じる。

周囲ばかり気にしている私には、とても眩しくて、とにかく目を瞑ってしまいたくなる人なのだ。

しばらく彼が去っていったエントランスをぼうっと見つめていた。
とくに乱されたわけではないけど、一度リセットしようと思い、里見さんに断りを入れてからお手洗いへ向かう。
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