献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

扉の外では引き続き、ドタバタと慌てている足音がする。
その間にチャイムは何度も鳴らされており、「清澄ー」「清ちゃーん」と彼の名前を呼ぶ声も聞こえた。

……誰なんだろう。
こんな時間に、女性がふたりも訪ねてくるなんて。

扉の外の様子はまったくわからない。
ドアの上部にほんの小さな磨りガラスの窓が付いているがそこから覗いたところでなにも見えないだろう。

洗面所の電気を点けることもできるけれど、この小窓から光が漏れたらバレてしまうため、私は暗い中で音を立てずに座り込んだ。

なにが起こっているかわからないのに、言われた通りに息を潜める。

「あ、やっと開いた。清ちゃぁん、会いたかったよー」

「お邪魔するねー」

「……麗奈、凜花……」

〝麗奈〟と〝凜花〟。
そう聞こえた。
自分も愛莉と呼ばれていることを思い出し、ギクリとする。

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