大人の初恋
夕方5時になり就業時間を知らせるチャイムが鳴った。
11月30日の金曜日。月末だし慣れない愛想笑いをしたせいか、今日はいつもより少し疲れた。そんな事を考えながら更衣室に向かう。
すると
「お疲れー」と後ろから声がした。振り返ると美紅(みく)だ。
同期入社の岩手に来てから出来た初めての友達だ。家も近所で必然的に仲良くなった。
課は違うが就業時間が一緒の時はご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりする。
「結奈聞いてよー。今日来た本社の人マジ最悪」
あの人だ!とピンと来た。
「ずっと最近の若い子は会社を遊び場だと思ってる、とかだから女は仕事が出来ないんだ、とか偏見ばっか。マジでムカつくし」
この話は長くなるなと思った私は
「週末だし、飲みに行こ」
と美紅を誘った。
「行くー、多分この話題永遠と喋れるよ?」
とケラケラ笑いながら話す美紅。
「勿論。私もその人の話題なら永遠に喋れるから大丈夫。家に一旦寄って私の車で行こ」
田舎なので、移動手段が無いため社会人にとって車は1人1台が必須である。
家に帰り支度をする。
いつもはパンツスタイルの私だか、今日はスカートが履きたいなと、ふと思いスカートを履くことにした。髪もいつもは1本に束ねてるだけだが、今日はハーフアップにしてみた。
鏡を見ると、いつも少し違う自分が居て少し嬉しいような、恥ずかしいような。疲れていて変なテンションなのかな、と思いながら、『きらきら星変奏曲』を鼻歌で歌いながら準備を進める。
美紅の家の前まで来た。鞄からスマホを取り出し美紅に電話をかける。
すぐに美紅が出てきた。
「遅ーい。話す事山ほどあるんだからね!」
笑いながら話す美紅。
「ごめん。支度に意外と時間かかった」
「てか、今日の格好珍しいね。いつものパンツスタイルもカッコイイけど今日の結奈の感じも可愛くて好き」
「ありがとう。美紅を見習って少し女らしさ出してみた」
そんな話をしながら居酒屋に向かう。
お店についた。普通のチェーン店の居酒屋だが、コスパは最強だ。安月給の私達には、心強い。
「乾杯~」
ビールは2人とも飲めないので、好きなお酒で乾杯する。
週末なのでかなり混んでいた。枝豆やサラダなど一通り注文し終えた。
「元請けの人達っていつまで居るの?」
美紅が聞いてきた。
「2週間位居るみたい」
「つまりあのオジさんに2週間もネチネチ言われるのか。嫌だな」
「本当嫌だけど頑張ろうね!」
「あのイケメンも2週間居てくれるって思って頑張ろう」
「美紅彼氏居るじゃん」
「目の保養だよ」
「タイプの顔だったのね」
「身長高いし、イケメンだし、結奈どう?」
「どうって何が?」
「結奈彼氏居ないし狙っちゃえば!指輪してなかったし、同い年らしいよ。しかも岩手出身なんだって」
「私はいいかな。愛想も無かったし」
「結奈は美人なんだから、彼氏作らないのもったいないよ」
などとガールズトークで盛り上がる。
正直今は彼氏は要らないと思ってる。
高校1年生の時に初めての彼氏ができた。告白されてつきあったのだか、3ヶ月で別れた。告白してきたのにふられたのだ。
その後も何度か付き合ってみたものの、長続きせず。
別れの原因は、いつも本当に好きなのか分からないだ。
私なりにチャント好きだと思って付き合うのだが、仕事や勉強など自分の事を優先してしまう所など可愛げがないらしい。
別れの雰囲気を出されても追いかけたりしないところも原因なのかなと、ぼんやり考えながお喋りは続く。
「結奈何飲む?」
「ウロンハイ頼んでもらっても良い?私トイレ行ってくる」
と結奈に注文を任せてトイレに行くことにした。トイレに向かう通路を歩く。真正面から見覚えの有る男性が向かってくる。
高橋 渚だ。
気付いた私は軽く会釈をした。
目が合った。が彼は知らぬふりをして横を通りすぎていった。
愛想もなければ嫌な感じだ。
そのまま私は美紅の場所へと戻っていった。
11月30日の金曜日。月末だし慣れない愛想笑いをしたせいか、今日はいつもより少し疲れた。そんな事を考えながら更衣室に向かう。
すると
「お疲れー」と後ろから声がした。振り返ると美紅(みく)だ。
同期入社の岩手に来てから出来た初めての友達だ。家も近所で必然的に仲良くなった。
課は違うが就業時間が一緒の時はご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりする。
「結奈聞いてよー。今日来た本社の人マジ最悪」
あの人だ!とピンと来た。
「ずっと最近の若い子は会社を遊び場だと思ってる、とかだから女は仕事が出来ないんだ、とか偏見ばっか。マジでムカつくし」
この話は長くなるなと思った私は
「週末だし、飲みに行こ」
と美紅を誘った。
「行くー、多分この話題永遠と喋れるよ?」
とケラケラ笑いながら話す美紅。
「勿論。私もその人の話題なら永遠に喋れるから大丈夫。家に一旦寄って私の車で行こ」
田舎なので、移動手段が無いため社会人にとって車は1人1台が必須である。
家に帰り支度をする。
いつもはパンツスタイルの私だか、今日はスカートが履きたいなと、ふと思いスカートを履くことにした。髪もいつもは1本に束ねてるだけだが、今日はハーフアップにしてみた。
鏡を見ると、いつも少し違う自分が居て少し嬉しいような、恥ずかしいような。疲れていて変なテンションなのかな、と思いながら、『きらきら星変奏曲』を鼻歌で歌いながら準備を進める。
美紅の家の前まで来た。鞄からスマホを取り出し美紅に電話をかける。
すぐに美紅が出てきた。
「遅ーい。話す事山ほどあるんだからね!」
笑いながら話す美紅。
「ごめん。支度に意外と時間かかった」
「てか、今日の格好珍しいね。いつものパンツスタイルもカッコイイけど今日の結奈の感じも可愛くて好き」
「ありがとう。美紅を見習って少し女らしさ出してみた」
そんな話をしながら居酒屋に向かう。
お店についた。普通のチェーン店の居酒屋だが、コスパは最強だ。安月給の私達には、心強い。
「乾杯~」
ビールは2人とも飲めないので、好きなお酒で乾杯する。
週末なのでかなり混んでいた。枝豆やサラダなど一通り注文し終えた。
「元請けの人達っていつまで居るの?」
美紅が聞いてきた。
「2週間位居るみたい」
「つまりあのオジさんに2週間もネチネチ言われるのか。嫌だな」
「本当嫌だけど頑張ろうね!」
「あのイケメンも2週間居てくれるって思って頑張ろう」
「美紅彼氏居るじゃん」
「目の保養だよ」
「タイプの顔だったのね」
「身長高いし、イケメンだし、結奈どう?」
「どうって何が?」
「結奈彼氏居ないし狙っちゃえば!指輪してなかったし、同い年らしいよ。しかも岩手出身なんだって」
「私はいいかな。愛想も無かったし」
「結奈は美人なんだから、彼氏作らないのもったいないよ」
などとガールズトークで盛り上がる。
正直今は彼氏は要らないと思ってる。
高校1年生の時に初めての彼氏ができた。告白されてつきあったのだか、3ヶ月で別れた。告白してきたのにふられたのだ。
その後も何度か付き合ってみたものの、長続きせず。
別れの原因は、いつも本当に好きなのか分からないだ。
私なりにチャント好きだと思って付き合うのだが、仕事や勉強など自分の事を優先してしまう所など可愛げがないらしい。
別れの雰囲気を出されても追いかけたりしないところも原因なのかなと、ぼんやり考えながお喋りは続く。
「結奈何飲む?」
「ウロンハイ頼んでもらっても良い?私トイレ行ってくる」
と結奈に注文を任せてトイレに行くことにした。トイレに向かう通路を歩く。真正面から見覚えの有る男性が向かってくる。
高橋 渚だ。
気付いた私は軽く会釈をした。
目が合った。が彼は知らぬふりをして横を通りすぎていった。
愛想もなければ嫌な感じだ。
そのまま私は美紅の場所へと戻っていった。