❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
かすみ、びっくりさせるなよ、もう、怖くて抱けねえ。

俺は自分自身を慰めたのは、はじめてかもしれない。

いつでも、性的欲求を満たす相手に困ったことはない。

そこに深い愛情があるかと言えば、ほとんどないに等しい。

かすみが初めてだった。

誰にも渡したくない気持ちや、かすみが他の男の名前を口にするだけで、

気が狂いそうなくらい嫉妬した。

俺だけ見てくれ、俺のことだけ考えてくれ、俺だけ愛してくれと。

この関係はずっと続くと疑わなかった。

それなのに、かすみがこの世からいなくなる、そんな日がくるとは想像も出来ない。

かすみに無理をさせなければ、少しでも寿命が延びるなら、俺はいくらでも自分でやる。

かすみ、かすみ。

拓真はかすみの寝顔に優しくキスを落とした。

次の日の朝、拓真が目覚めると、かすみはキッチンに立って朝食の準備をしていた。

「かすみ、大丈夫なのか」

「拓真さん、おはようございます、今日は気分がよくて、だから食事の支度をしようかなって……」

< 107 / 176 >

この作品をシェア

pagetop