❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
「かすみ、俺だ、大丈夫か」
「大丈夫です、台風が今晩中に通り過ぎればいいんですけど、しばらく居座るみたいなので、
ヘリが飛ばないと拓真さん、帰って来れないですね」
かすみの声は少し涙声だった。
それに拓真は気づいたが、どうすることも出来ない自分が歯痒かった。
「かすみ、かすみ、もう少し頑張ってくれ」
「はい」
かすみと離れて数時間でこんなにも辛い、寂しい思いをするなんて、
拓真は耐えられなかった。
かすみが自分の側にいることが当たり前の生活で、俺はかすみがいない世界は考えられなかった。
かすみ、俺はずっとお前の側を離れないぞ。
それから台風は停滞したまま、ヘリが飛べる状態ではなかった。
まるで、拓真とかすみを試しているかのように、二人の間を阻んだ。
かすみは精神的にも弱っていった。
拓真に会えない寂しさと心細さは尋常ではなかった。
「かすみさん、少しは食事召し上がらないとダメです」
かすみは窓から暗い空を見上げて、泣いていた。