❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
これで最後かと思うほどの激しい抱擁にかすみは色っぽい喘ぎ声を上げた。

「拓真、大好きよ、拓真、拓真」

急にかすみの腕の力が抜けた。

かすみはぐったりして、意識を失った。

「かすみ、かすみ」

拓真はすぐに村上先生を呼んだ。

処置が施されて、かすみは安定を取り戻した。

「かすみさんは、今まさに死と向き合いながら、必死に生きようと闘っています」

拓真はかすみを抱き抱えながら、人目も憚らず泣いた。

泣いて、泣いて、でも涙は枯れることはなかった。

次の日の朝、かすみは天国へ召された。

かすみ、最後のキス、思いっきり力を振り絞って俺にしがみつたんだな。

なあ、かすみ、かすみは方向音痴だから、迷うと大変だ、ちょっと待ってろ、すぐそっちに行く。

拓真はかすみの身体を抱えて、海に向かった。

かすみ、ちゃんと俺にしがみついてろよ。

拓真はかすみと共に海に入っていった。

「ダメ、健斗、あなたが死んだら私、この世にこれないよ」

拓真は突然の女性に声に振り向いた。

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