❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
「そんなことないですよ、最近お嬢はかすみさんに似てきてますので、若頭も戸惑ってるんじゃないですか」

「どうして?」

「若頭はかすみさんに惚れてましたから」

「そうなの?」

ユリエは思わぬ情報を掴んだと思った。

マンションに戻り、かすみの来ていたワンピースをクローゼットから引っ張り出した。

鏡の前でチェックして、春日部コーポレーションへ一人で出かけた。

もう二十一時を過ぎていた。

社長室はまだ明かりがついていた。

ユリエは大館をびっくりさせようと、そっと社長室を覗いた。

会話が聞こえる。

相手は秘書の丸山さんだとわかった。

「こんな時間まで二人で仕事」

「大館社長」

丸山さんは大館にいきなり抱きついた。

あまりの衝撃的な場面に遭遇して、ユリエはその場から立ち去った。

大館の嘘つき、丸山さんが彼女だったの?

ユリエの頭の中は二人の抱擁の妄想が駆け巡った。

やだ、やだ。

ユリエはこの時大学の先輩のアパートに向かっていた。

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