❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
大館は仕方なく電車でユリエの後を追った。

「お嬢、走ってはいけません」

ユリエは段差に躓き、転びそうになった。

それを大館はいち早く、追いつき支えた。

「大丈夫ですか」

「大丈夫よ、余計なことしないで」

ユリエは思ってもいないことを口にした。

本当はありがとうってニッコリ微笑みたかった。

なんて私って可愛くないの?

大館は大きなため息をついた。

仕方なく、ユリエの後を追った。

大学の最寄りの駅に着くと、友美が「おはよう」と声をかけてきた。

「あっ、友美、おはよう」

「あれ、車じゃないの?」

「うん」

「一人?」

「違う、ほら後ろからついてくるでしょ」

友美はユリエの指さす方に視線を向けた。

大館が後をついてきていることに気づいた。

「大館さんになったの」

「そう、この間、無断外泊して友美のアパート泊まらせてもらったでしょ、もうすごい剣幕で怒鳴られて……」

「パパに?」

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