❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
なさらないでください」

「なんでだよ」

「若頭には新堂組傘下の真山組の娘さんと結婚して頂きます、そして新堂組組長として組を統括して頂きます」

「そんな話は知らねえ」

「キャバ嬢ユリエさんを愛人になさるのは構いませんが、花園さんに手を出すことは許されません」

「俺はかすみと結婚したいんだ」

「ご自分の立場を弁えてください、本日真山梨花様がお見えになります、
ディナーの予約をしてありますので、予定して置いてください」

社長は握り拳を震わせていた。

私は急な展開に戸惑っていた。

キャバ嬢ユリエとして愛人としてなら健斗さんに会える。

健斗さんは結婚して新堂組を継ぐ。

一番いいことなのに、私が望んでいたことなのに、なぜか涙が溢れた。

私はその場に留まることが出来ずに、社長室を後にした。

俺はかすみを引き止めることが出来なかった。

ユリエを愛人にすれば、一緒にいられる。

でも俺はかすみと結婚したいんだ。

かすみを幸せにしたい。

俺の女として囲いたいわけじゃない。

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