王子様は拗らせお姫様の虜
「え!あの予約が、なかなか取れない月の屋リゾート?」

「うん、実花子、年末テレビ見ながら、
行きたいなぁって言ってたでしょ?」

実花子は、困ったような顔を、しながら、小さな声で返事をする。

「うん……一度行ってみたくて……」

「じゃあ行こ。クリスマスプレゼントもあげれてないし」

「でも……仕事……」

僕は、実花子のおでこから、ほっぺたにキスを落としながら、鼻と鼻を、くっつけた。

「僕は、仕事も大事だけど、実花子の方がもっと大事」

実花子が、恥ずかしそうにしながら、僕の鼻から鼻を離すタイミングを見計らって、僕は実花子の唇を奪う。

実花子の呼吸に合わせて、ゆっくり、何度もキス繰り返しながら、実花子の口内を味わい、最後に下唇を舐め取った。

「ち……千歳」

僕の肩から両手を、離すと、ペタリと座り込んだ実花子の前にしゃがみ込み、僕は、歯を見せて笑った。

「ぷっ。そんなに僕のキス良かった?」 

「違っ……ちょっと……座りたかっただけ」

「ふぅん。急にキッチンに座り込むなんて、おかしいけどね。てっきり僕のキスが気持ち良すぎて、腰砕けになったのかと」

「絶対!違うからっ!」

実花子は、真っ赤になって口を尖らせている。
< 3 / 20 >

この作品をシェア

pagetop