ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
それからずっと、七生との時間がつらいものになった。

目も合わせることが困難で、声を聞くだけで泣きそうになる。
昨夜は、仕事が終わると同時に三宅を掴まえて飲みに行った。
七生と過ごさなくていいのかという質問に、しどろもどろにしか答えれない文に三宅は呆れていたが、理由を聞かずに過ごしてくれた。

以前の出来事があるので、帰りはもちろん七生のお迎えであったが、文は車では酔ったふりをして会話をせず、家ではさっさと寝てしまった。

色んなことが怖くて、何も話せないでいる。
本当の話を聞いたら、この関係はどうなってしまうのだろう。

七生にとってはゲームだったのかもしれない。
七生を取り巻く煌びやかな世界には、文のようなタイプは珍しいから。

面白いと言っていたではないか。
中々靡かない女を落とす事が楽しかったのかも。

(ううん、七生さんは、そんな悪い男じゃない)

自分の分析に、自分で訂正をいれる。
気持を整理できていない証拠だった。

怖かったが、なんでショックをうけているのか、なんで泣きたくなるのかよく考えた。

そして、ようやく結論がでる。
この関係を終わらせたくないから、悲しいんだ。
好きだから、悔しいんだ。

(ーーーー七生さんが、好きなんだ)

たぶんとか、まだわからないなんて誤魔化していたけれど、もうそんな言い訳はきかない。

七生が好き。

自分の中でひとつの結論がでる。

あとは、七生がどう思っているかだけだ。
ずるずるとこの関係を続けていても仕方が無い。

勇気を出して、週末に話し合おうとしていた矢先。出鼻を挫かれた。
< 112 / 132 >

この作品をシェア

pagetop