ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
これって、わたしの敗訴ですかね?
文が務める国内シェアナンバーワンの化粧品会社、FUYOUは一日の中で花びらの色が変化する花として有名な、芙蓉から名づけられている。
年代に合わせた多彩な商品展開をしており、ブランドコンセプトはグローバルに支持されている。
文も基礎化粧品を愛用する一人として、この会社に憧れて入社をした。
文が目指した研究職は、理系の大学へ進んだだけでは、必ずしもその職種につけるわけではないくらいには門が狭い。
さらにシェアトップレベルのメーカーともなると、修士課程を終えてやっと挑戦することができるくらいのレベルだ。
そこまでがんばってもまだまだ競争は激しく、文は在学中から、就職を見据えてその分野に特化した研究を選び続け、自己アピールにするための経歴を着々と身につけた。
学生時代は勉強しかしていない。
もともと好きなことを勉強していたから苦ではなかったが、周りが自由を謳歌する中、遊びも控え、恋愛も疎遠に過ごしたのはちょっとまずかったかもしれない。
女子高校生、女子大生という華々しい年代を、陰キャと呼ばれる存在で過ごしてしまった。
もう少し遊びも本業も器用にこなすべきだったが、不器用まっしぐらに猛勉強していたおかげで、難関とも言える倍率を勝ち抜き、めでたく第一希望のFUYOUに就職をした。