ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
FUYOUの副社長である吾妻至は、くっきりとした二重ときりっとした眉が特徴の美形だ。
栗色のウェーブ掛かった髪は色気があり、甘いマスクに愛想の良さも加えとても人気があった。
吾妻は四年前からアメリカより帰国し、副社長を務めている。
就任以降、爆発的な人気を支持を得た。
特別な相手が居ないと知った女子たちは、玉の輿を夢見てあの手この手で迫っていた。
そんな副社長の片腕であるのが顧問弁護士の七生だ。
七生は吾妻が長年をかけて口説き落とした精鋭であった。
七生は吾妻と見た目も性格も正反対なのに息ぴったりで、ふたりで居る事が多かった。
吾妻が陽ならば七生は陰だ。
学生時代からの友人という噂も聞いている。
ものすごい快進撃でFUYOUの業績を伸ばしているのは、間違いなく副社長の手腕ではあるが、その影には七生の功績があってこそだ。
化粧品は日用品であり、さらには肌に直接触れる商品でもあるからか、トラブルがとても多い。
クレームくらいなら可愛いもので、偽物を買ってしまった人や卸売業者の管理が杜撰で品質が悪くなってしまったものなど、問題は毎日のように起こっている。
インターネット通販で世界中の人が気軽に買えるようになった弊害か、海外で起こされた訴訟は特に厄介であった。
それを華麗に捌いているのが七生だ。
七生はいくつかの他国の弁護士資格も取得しており、いわゆる国際弁護士として活躍していた。