ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
「小動物みたいで和むんだよ」

七生は開き直った。

「まあね。それはよくわかる。俺たち役職ついてからより一層、周りが賑やかになったしね」

吾妻は学生時代からモテていたが、副社長という肩書きを持つようになると、よりその傾向は強まった。
ついでなのか、一緒に仕事をするようになった自分にまで色仕掛けをしかけてくるのだから、女というものは現金なものだ。

しかし、吾妻の周りは強い女ばかり。
自信に満ちているのは悪いことではないが、七生の好みではない。

日々緊張感のある仕事をしているせいか、プライベートでは癒されたいと思っている。
それが、純朴そうな文に惹かれた理由のひとつだ。

「いい子なのはわかるけど、ちょっと田舎くさくない?」

「素材は悪くないはずなんだ」

眼鏡をはずしたときの彼女を思い出す。
肌は透き通るように白く、しだれるようなまつ毛と口角がきゅっと上がっている口元が印象的だった。髪は真っ黒ストレート。染めたことはなさそうだ。清楚な感じが良い。

化粧品会社に勤めているというのに、化粧けがなく身なりも気にしていない様子だが、磨けば光るはずだ。

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