ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
吾妻は数秒考えてからにっこりとした。

「ご招待いただき光栄です。旭川と一緒に、ぜひとも出席させていただきます」

「頼んだぞ! 君のような女性が理想の嫁なんだよなぁ」

大山はガハガハと豪快に笑った。

(ーーーーよ、嫁?!)

その発言はもうセクハラというものだ。昭和の豪快なおじ様はまったく悪気はない。
むしろ褒めているつもりだろう。

「は……?」

七生が低い声をだした。
大山に聞こえたらまずいのでは。
公平公正な法曹界に身を置いていると、小さな事も気になるのかもしれない。

さらには、こんな不出来な秘書が取引先のパーティーに参加だなんて、きっとクレーム必須案件だと思っているのだ。

七生はみるみるうちに機嫌が悪くなった。
表向きは微笑みを崩さないのが余計に怖い。鈍感な大山は気付いていなく盛り上がる。

「面白くなってきたな」

吾妻が呟く。

(全然面白くないですけど?!)

彼ひとり、他人事だった。
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