ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
パーティーは想像していたよりずっと華やかだった。
会場は、プリンセス映画に出てきそうな二階バルコニーのある大広間だ。
両サイドに広がる白をベースとした会場に、階段はワインレッドのカーペット敷き。ホテルとは思えないほど天井はたかく、折り上げられ装飾のついた周り縁で囲まれた内部からはシャンデリアが光っていた。
立食のようで、見たこともない色とりどりの料理が並ぶ。
根本は仕事なのだから、ひとり浮かれた格好だったらどうしようと思っていたが、そんな心配は不要だった。
寧ろ文は地味な方で、これなら目立たないで同行を終えることが出来るかもと希望を抱いた。
ウェルカムドリンクをもらい嗜む。
日頃のストレスに今日の緊張が加わり、胃の痛みがピークだ。
悪酔いしないように、取り分けて貰ったものを少量口にいれるが、飲み込むのも苦労した。
残念だが、食べているフリだけにしよう。
吾妻にエスコートされ、なんとか挨拶をこなしていく。
三宅の仕事も完璧であった。
近づいてくる人がいると相手が何者なのか後ろで囁いた。文のためというか吾妻の為ではあるが、その知識量と立ち振る舞いは文にとっても、とても勉強になる。
三宅は秘書として付いてくるし、七生もなぜか一緒についてくるから、四人でゾロゾロと移動するという謎のグループが出来ていた。
そういえば、七生には同伴は必要なかったのだろうか。
ひとりで参加しても、特段失礼なわけではないんだっけ?
(こういうのも知識を入れておかなくちゃだな)
一番警戒していた賢とはまだ顔を合わせていない。
どうもこの会場にいないらしく、文はほっとした。