ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
「っあ、危ないです!」
「ほら、焦げるよ。火を止めて」
後ろから伸びてきた手が、コンロをカチリと止める。
「もっと可愛らしいおはようが欲しい。さっきのは義務的すぎる」
「………おはよう、七生さん……」
渋々言い直すと、満足げにした七生は先に出来上がっていたトーストをつまみ食いした。
「あ! お行儀悪いです」
「もっと砂糖を入れたい」
リクエストは却下した。
「だめです。これが黄金比なんですもん。シロップもあるから十分です」
レシピを見て、キッチリ計って作っているのだ。
材料を足したらバランスが崩れてしまう。
「理系だよなぁ」
七生はもうひとつ摘まみ頬張ると、皿を持ってテーブルへと向かった。
「意外と甘党ですよね」
「顔に似合わずって言いたいんだろ。常に頭を使う仕事だからかな」
七生のコーヒーを淹れて追いかけると向かい合わせに座った。
七生が見るのは海外のニュースだ。
一緒に食べながら文も観てはみるが、外国語はBGMになってしまい、何ひとつ理解できない。
「明日から仕事だな。行けそうか?」
「はい。そろそろ。行かないと、仕事がたまって大変なことになっていそうです」
「文は突発的な事に弱いからな。あんなに慌てなくてもいいのに」
なかなか成長しない部分を指摘されて、むぅと口を尖らせる。
本番に弱いタイプで、執務室にひとりならもう少しマシなのだ。
同僚たちと七生の見張る目に緊張するから、余計に出来なくなる。
「そこが可愛いんだけど」
付け足された一言に、恥ずかしさを飲み込む。
「そんなことばかり言って……」
俯くと七生の手が伸びてきた。うなじを撫でる。
「好きなのだと、何度でも伝えないと信じてくれないだろ?」
メープルシロップのついた唇を指でつつかれる。
そうしながらゆっくりと顔が近づいた。
「ほら、焦げるよ。火を止めて」
後ろから伸びてきた手が、コンロをカチリと止める。
「もっと可愛らしいおはようが欲しい。さっきのは義務的すぎる」
「………おはよう、七生さん……」
渋々言い直すと、満足げにした七生は先に出来上がっていたトーストをつまみ食いした。
「あ! お行儀悪いです」
「もっと砂糖を入れたい」
リクエストは却下した。
「だめです。これが黄金比なんですもん。シロップもあるから十分です」
レシピを見て、キッチリ計って作っているのだ。
材料を足したらバランスが崩れてしまう。
「理系だよなぁ」
七生はもうひとつ摘まみ頬張ると、皿を持ってテーブルへと向かった。
「意外と甘党ですよね」
「顔に似合わずって言いたいんだろ。常に頭を使う仕事だからかな」
七生のコーヒーを淹れて追いかけると向かい合わせに座った。
七生が見るのは海外のニュースだ。
一緒に食べながら文も観てはみるが、外国語はBGMになってしまい、何ひとつ理解できない。
「明日から仕事だな。行けそうか?」
「はい。そろそろ。行かないと、仕事がたまって大変なことになっていそうです」
「文は突発的な事に弱いからな。あんなに慌てなくてもいいのに」
なかなか成長しない部分を指摘されて、むぅと口を尖らせる。
本番に弱いタイプで、執務室にひとりならもう少しマシなのだ。
同僚たちと七生の見張る目に緊張するから、余計に出来なくなる。
「そこが可愛いんだけど」
付け足された一言に、恥ずかしさを飲み込む。
「そんなことばかり言って……」
俯くと七生の手が伸びてきた。うなじを撫でる。
「好きなのだと、何度でも伝えないと信じてくれないだろ?」
メープルシロップのついた唇を指でつつかれる。
そうしながらゆっくりと顔が近づいた。