ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
「ーー文」
話に熱中して、声が大きくなっていたかもしれない。
「どうした? まだ寝てていいぞ」
慌てて駆けよる。
「でも、七生さん起きてるのに……」
「そんなのいい。体辛いだろ」
七生がベッドに戻るように背中を押すと、文はよろけた。
「あっ」
腕を出して支える。
「大丈夫?」
「なんか、足が笑っちゃって……」
文は顔を真っ赤にして七生にしがみついた。
原因がすぐにわかり、七生は破顔する。
「マッサージしてあげるよ」
あまりの愛おしさに抱き寄せたところで、手に持ったままだったスマートフォンから音割れした声が響いた。
『七生、早朝のフライトだ! 寝坊するなよ!』
吾妻の存在などすっかり忘れていて、舌打ちをする。
「行かないとは言わないから、月曜にしてくれ」
『今夜と言わないだけ、優しいと思って欲しいね!』
吾妻は返事を聞かずに、憤慨しながら通話を一方的に終わらせた。
「ごめんなさい、副社長から電話だったんですね……邪魔をしてしまって」
「いや、気にしないで。休日に仕事の話で邪魔をしてきたのは至の方だから」
七生は額に軽くキスを落とすと、文を横向きに抱き上げる。
文は素直に腕を回した。
「ベッドにする? ソファにする?」
どちらにしろ一緒に過ごすつもりだ。
食事は昼に食べれば良いだろう。
それにしても、賢はよくもやってくれた。
やはり温情などかけずにすぐに処罰するべきだった。
文に手を出し、貿易を混乱させ、ふたりの時間を邪魔した罪は重い。
ベッドを選んだ文を移動させながら、七生は震えるような怒りをひた隠しにしていた。
話に熱中して、声が大きくなっていたかもしれない。
「どうした? まだ寝てていいぞ」
慌てて駆けよる。
「でも、七生さん起きてるのに……」
「そんなのいい。体辛いだろ」
七生がベッドに戻るように背中を押すと、文はよろけた。
「あっ」
腕を出して支える。
「大丈夫?」
「なんか、足が笑っちゃって……」
文は顔を真っ赤にして七生にしがみついた。
原因がすぐにわかり、七生は破顔する。
「マッサージしてあげるよ」
あまりの愛おしさに抱き寄せたところで、手に持ったままだったスマートフォンから音割れした声が響いた。
『七生、早朝のフライトだ! 寝坊するなよ!』
吾妻の存在などすっかり忘れていて、舌打ちをする。
「行かないとは言わないから、月曜にしてくれ」
『今夜と言わないだけ、優しいと思って欲しいね!』
吾妻は返事を聞かずに、憤慨しながら通話を一方的に終わらせた。
「ごめんなさい、副社長から電話だったんですね……邪魔をしてしまって」
「いや、気にしないで。休日に仕事の話で邪魔をしてきたのは至の方だから」
七生は額に軽くキスを落とすと、文を横向きに抱き上げる。
文は素直に腕を回した。
「ベッドにする? ソファにする?」
どちらにしろ一緒に過ごすつもりだ。
食事は昼に食べれば良いだろう。
それにしても、賢はよくもやってくれた。
やはり温情などかけずにすぐに処罰するべきだった。
文に手を出し、貿易を混乱させ、ふたりの時間を邪魔した罪は重い。
ベッドを選んだ文を移動させながら、七生は震えるような怒りをひた隠しにしていた。