ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~
証拠調べ
文はお昼までもうひと眠りし、シャワーを浴びて七生が作ってくれた昼食を食べると、また日付が変わるまで情事に耽るという、なんとも言えない週末を過ごした。
何度も何度も、互いの体が融合するのではないかと思うほど繋がり合った。
おかげで、昨日の朝の時点でさえうまく歩けなかったのに、今は生まれたての子鹿のほうがまだマシなほどの体たらくだ。
腰が重くて違和感がある。
七生は急な仕事でアメリカに行くことになった。
早朝のフライトで、朝日が昇る前に出発しなくてはならなかったため、夜中に慌ただしく出かけてしまった。
文は寝てしまったが、七生は睡眠も取らなかったようだ。
見送りは起き上がることも億劫で、出掛けがけにベッドの中から送り出した。
出張準備を手伝えなかったことを申し訳なく思う。
しかし、七生の体力はどうなっているのだ。
『ーーーー可愛い。愛してるよ』
繰り返し囁かれた告白を反芻する。
ほぼ丸一日愛されていたことを思いだし、ひとり顔を赤くした。
流されたわけではない。
この人なら、委ねてもいいって思えたのだ。
七生はいつのまにか、安心できる存在となっていた。
それにしても、今まではプラトニックな付き合いだったとは驚いた。
婚約者なわけだし、毎日のように熱いキスをしてくるからとっくにそういう関係で、文の記憶に配慮してくれているのだと思ったら……。
そんなことさえ覚えていなくて、自分の体にびっくりしていた。