【可愛がってあげたい、強がりなきみを】番外編「ゴージャスハネムーン・イン・ニューヨーク」


「考え事?」

 これまでの日々の感慨に耽りすぎていたのか、向かいに座る郁美が尋ねてきた。

「いや、郁美に見惚れてた」
「もう、嘘ばっかり」
 と言いながら、顔を真っ赤にして俯いている。

「嘘なんて言わない。やっぱり、そのドレスにして正解だったと思ってたんだよ」
「本当に似合ってる?」
「ああ」

 こうして共に食事をすることさえ、俺にとっては無上の喜びだ。

「わあ、綺麗な盛りつけ。食べるのもったいないね」

 と、嬉しそうに微笑む郁美を見ていることが、どんな美食や美酒よりも俺を酔わせてくれるから。
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