【可愛がってあげたい、強がりなきみを】番外編「ゴージャスハネムーン・イン・ニューヨーク」
「ああ、だってティファニーに行かなきゃ、だろ?」
 そう言って、宗介は思いきり口角を上げる。
 
 あ、覚えてたんだ。

 亮介さんに煽られて「ティファニーで大人買い」って言ったの。

「いや、ティファニーの前にまずドレスか。順番的に」
「ドレス?」
「明日、三ッ星を予約してるから」
「わ、すごい」

 喜ぶわたしの顔を見て、宗介さんも口元をほころばせた。

「郁美にはいつも寂しい想いさせてるからさ。そのぐらいのサービスはさせてもらわないと」

 そう言って、少し照れくさそうに首元に手をやり、流し目で見つめてくる。
 
 その表情があまりにも麗しすぎて、今更ながら、わたしの心臓は勝手にはねる。

 本当に自分がこの人の妻でいいのだろうかと、いまだに思ってしまうことも。

 それぐらい、存在そのものが現実離れしているから、宗介は。
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