【本編完結】誕生日に捨てられた記憶喪失の伯爵令嬢は、辺境を守る騎士に拾われて最高の幸せを手に入れる
森の出口に差し掛かった時、突然シロの足が止まったことに気づき、リーズは後ろを振り返る。
「シロ?」
「(ここまでだ、リーズ)」
「え?」
シロは出会った時と同じように大きな魔獣の狼の姿に変化する。
わずかに風が巻き起こり、リーズの髪がふわりと一瞬浮き上がった。
「(わたしは森に帰ってチビたちの面倒を見ないといけない)」
「チビ……?」
「(ああ、わたしが森を抜けると若い衆が不安がる。早く帰らなければならない)」
その言葉を聞いて瞬時に彼には”家族”がいるのだと理解したが、彼からは少し違った答えが返ってきた。
「(実の、ではない。森で住むものは皆家族のようなものだ。チビは私を慕う三つ子の猫だ)」
狼を猫が慕うと聞き、少し不思議な感覚に陥ったが、逆に言えば仲が良いということなのだと感じた。
と同時に彼はもう帰らなければならないのだとリーズは悟る。
「(さあ、別れの時間だ。世話になった。感謝している)」
「いいえ、あなたが元気になってよかった」
「(ああ、北の森は人間を襲う魔獣で溢れているから、そちらには行くなよ)」
「うん、ありがとう」
「シロ?」
「(ここまでだ、リーズ)」
「え?」
シロは出会った時と同じように大きな魔獣の狼の姿に変化する。
わずかに風が巻き起こり、リーズの髪がふわりと一瞬浮き上がった。
「(わたしは森に帰ってチビたちの面倒を見ないといけない)」
「チビ……?」
「(ああ、わたしが森を抜けると若い衆が不安がる。早く帰らなければならない)」
その言葉を聞いて瞬時に彼には”家族”がいるのだと理解したが、彼からは少し違った答えが返ってきた。
「(実の、ではない。森で住むものは皆家族のようなものだ。チビは私を慕う三つ子の猫だ)」
狼を猫が慕うと聞き、少し不思議な感覚に陥ったが、逆に言えば仲が良いということなのだと感じた。
と同時に彼はもう帰らなければならないのだとリーズは悟る。
「(さあ、別れの時間だ。世話になった。感謝している)」
「いいえ、あなたが元気になってよかった」
「(ああ、北の森は人間を襲う魔獣で溢れているから、そちらには行くなよ)」
「うん、ありがとう」