【本編完結】誕生日に捨てられた記憶喪失の伯爵令嬢は、辺境を守る騎士に拾われて最高の幸せを手に入れる
「美味しい」
「よかった、これくらいしか作れなくてごめんね」
「そんなっ! 十分ありがたいです」

 二コラはリーズがしゃべれることを確認すると、真剣な顔で彼女に問う。

「一つ教えてくれるかい? なぜあの場所にいたんだ? 君のその服から見るにどこかのご令嬢ではないのか?」
「あ……」

 リーズはスープを飲む手を止めて、二コラに少しずつ話始めた。
 自分はフルーリー家の伯爵令嬢であること。
 しかし先月頭を打った影響で記憶喪失になったこと。
 そして父親に捨てられたこと──
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