俺と僕 人間と人狼
2 ロウ
10 過去
アオォォォォン
僕ロウは月に向かって遠吠えをした
「さぁ帰りましょう」
母さんが僕の首を咥え岩から飛び降りる
僕はまだ手足が短いから遠吠えの岩山に1人では登れない
「母さん、いつになったら僕の狩に連れて行ってくれるの?」
「ロウはまだ小さいから、もう少し大きくなったらね」
いっつもこればっかり、早く僕も外の世界に行きたい
父さんいわく僕の住む群れは、日本最後のオオカミの群れらしい
でも人間はぼくたちオオカミはもう絶滅したと思ってるらしくて
見つかったら捕まって剥製にされちゃうんだって
だから人間の街に降りることは群れのルールで禁止されてる
でもぼくは今日も人間に街へと向かった