俺と僕 人間と人狼
16 ケンカ
「お前馬鹿なの?」
久しぶりに話したかと思ったらすごいことを言われた
「なんで人間の街なんて行った」
「ご飯くれる人がいて…それで…」
「俺たちが持ってくる肉じゃ満足できねぇっていうのかよ、こっちはチビなテメェの分まで取ってきてやってんのによ」
「そんなんじゃ…ない」
「じゃぁなんでだよ」
「人間は…悪い奴らじゃないよ」
「は?お前…何言ってんの?」
「人間はみんながみんな悪い人ってわけじゃない、いい人だっている」
兄さんは僕に近づき僕のことを殴った
「いっー!兄さん?」
「お前は今まで何を学んできた!人間は敵なんだよ!森を破壊し、空気を汚し、俺たちの仲間を殺したのだって人間なんだぞ!?自分達が地球の支配者だと思い込んでいる愚か者なんだよ!」
兄さんは続けた
「お前知ってるか?「狼」は「大神」っても書くんだ俺らは森の神なんだよ、地球を守るようにつけられた名前なんだよ、」
「でも「狼」も「大神」も人間が与えてくれた名でしょ?!」
「そうだ、あいつらは俺らを神の使いと崇めたくせに殺した、そんな奴ら許せると思うか?」
「でも…でも…」
「でもじゃねぇ!これ以上余計なことをいうな!俺まで頭おかしいと思われるだろうが!そのせいで次のリーダーに選ばれなかったらどうしてくれんだよ!」
なんだよその言い方
そんなこと言ったら
「僕はどうでもいいみたいじゃんか……」
「あ?当たり前だろ、お前のことなんかどうだっていい、俺が気にしてるのはこの群れのリーダーになれるかどうかと、人間を殺せるかどうかだ」
ドン
「ふざけるな!!」
初めて兄さんに反抗した
「何も知らないくせに!人間がどれだけあったかいか知らないくせに!!」
兄さんは僕の行動が意外だったのか朧いていた、がすぐに起き上がり言い放った
「そんなに人間が好きなら人間になればいいだろ、テメェはもうオオカミじゃねぇ」
「出てけ」