サンタクロースに執着されました
「そっちはどうなのよ?」

「あー、どうなんでしょう?」

適当に笑ってカップの水面を見る。
私のほうは付き合ってもうすぐ二年になる。
最近は当初ほど可愛いだの好きだの言ってくれなくなったが、それは言わなくてもわかるほど私たちの信頼度が上がったからだと思っていた。

「なぁに、もう。
プロポーズの準備しているのでも見つけちゃった?」

「あ、いや。
それはない、かな?」

とぼけてみせながらワインを飲む。
イブは私の誕生日でもあるし、その日にプロポーズとか最高にロマンチックだよね、とほのめかしてはいた。
彼も私のアクセサリーの好みとかさりげなくリサーチしていたし、もしかするかも。

「ふーん。
サプライズするつもりなんじゃない?」

「だったらいいんですけどねー」

カップをテーブルに戻しながら、視界の隅によく見知った人がいた気がした。
改めてそちらを見ると、彼氏がいた。

――若い女性と、腕を絡ませて。
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