サンタクロースに執着されました
「ごめん」

「え、ちょっと、聖花!」

戸惑う同僚を無視して、つかつかとそちらへ向かう。

「……ねぇ。
これってどういうこと?」

私の声は恐ろしく低かったが、仕方ない。
私の姿を認めた途端、彼は顔色を失って棒立ちになった。

「あっ、えっと、これは」

意味をなさない言葉を発しながら、彼の目が忙しなく動く。

「そ、その。
彼女は会社の、後輩、で」

いまさら気づいたのか、彼は女性の腕を振りほどいた。

「えー、けんくん、なにするのー?」

不服そうに女性が頬を膨らませる。
化粧も薄く、控えめな私とは正反対の、いかにも可愛いを作っている派手目な女性。
そうか、彼は地味な私よりも彼女を選んだのか。

「ちょ、リサ、離せよ」

再び腕を絡ませてきた彼女を邪険に振り払うフリをしながら、彼の顔はまんざらでもない様子だった。

「そうね、きっと後輩なんだろうね」

「わかってくれたか!」

なにかを期待するように彼の顔がぱっと上がる。
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