落ちこぼれ聖女ですが、王太子殿下のファーストキスは私がいただきます!【書籍化】
これは前途多難だ。意気込みだけは一丁前のくせに、いざリアナ様を目の前にするとやけにスローペースになるようだ。このまま殿下に任せておいては、なかなかリアナ様との距離は縮まらない。
ガイゼル様も私と同じことを考えていたのか、お互いに顔を見合わせ、同時に大きくため息をついた。
「こっちだ! ガイゼル、クローディア!」
私たちの心配も知らず無邪気に呼ぶ殿下の横で、リアナ様がこちらをじっと見ている。長くて美しい銀髪が、リアナ様の肩の上で風になびいた。
間近で見るリアナ様は、まるで人形のように可愛らしい。ぱっちりと開いた大きな瞳、色白な肌。両頬はほのかなピンク色に染めている。
例えるならば、雪の女王と言ったところだろうか。こんなに温かく穏やかな陽気なのに、なぜかリアナ様の周りだけ小雪が散らついているような気がする。
「リアナ嬢、紹介するよ。こちらが私の家庭教師のクローディア嬢だ」
「クローディア様、初めまして。私はリアナ・ヘイズと申します」
一礼をして顔を上げたリアナ様の顔は、やっぱり人形のようにかわ……いくない! 私のことをものすごい形相で睨みつけている!
(うわぁっ! 殿下とガイゼル様がお話していて見ていないからって、まさかのこんな鬼のようなお顔を!)
リアナ様は瞬き一つせずに私を睨みつけ、下唇を噛んでわなわなと口元を震わせている。できることなら、唇は噛まずに大切にしておいて欲しかった。殿下のファーストキスを受け止める大事な唇なのだから。
自分がこれから婚約するかもしれない相手の側に、見知らぬ女性がいるのだ。リアナ様が良い気がしないのは当然かもしれない。しかし彼女の視線は、私の体を貫くのではないかと思われるほどにチクチクと私の全身を刺した。
(これって、殿下の近くにいる私に対しての嫉妬だよね? もしそうだとしたら、殿下にとっては良いことなんだけど……とりあえず怖い!)
ガイゼル様も私と同じことを考えていたのか、お互いに顔を見合わせ、同時に大きくため息をついた。
「こっちだ! ガイゼル、クローディア!」
私たちの心配も知らず無邪気に呼ぶ殿下の横で、リアナ様がこちらをじっと見ている。長くて美しい銀髪が、リアナ様の肩の上で風になびいた。
間近で見るリアナ様は、まるで人形のように可愛らしい。ぱっちりと開いた大きな瞳、色白な肌。両頬はほのかなピンク色に染めている。
例えるならば、雪の女王と言ったところだろうか。こんなに温かく穏やかな陽気なのに、なぜかリアナ様の周りだけ小雪が散らついているような気がする。
「リアナ嬢、紹介するよ。こちらが私の家庭教師のクローディア嬢だ」
「クローディア様、初めまして。私はリアナ・ヘイズと申します」
一礼をして顔を上げたリアナ様の顔は、やっぱり人形のようにかわ……いくない! 私のことをものすごい形相で睨みつけている!
(うわぁっ! 殿下とガイゼル様がお話していて見ていないからって、まさかのこんな鬼のようなお顔を!)
リアナ様は瞬き一つせずに私を睨みつけ、下唇を噛んでわなわなと口元を震わせている。できることなら、唇は噛まずに大切にしておいて欲しかった。殿下のファーストキスを受け止める大事な唇なのだから。
自分がこれから婚約するかもしれない相手の側に、見知らぬ女性がいるのだ。リアナ様が良い気がしないのは当然かもしれない。しかし彼女の視線は、私の体を貫くのではないかと思われるほどにチクチクと私の全身を刺した。
(これって、殿下の近くにいる私に対しての嫉妬だよね? もしそうだとしたら、殿下にとっては良いことなんだけど……とりあえず怖い!)