落ちこぼれ聖女ですが、王太子殿下のファーストキスは私がいただきます!【書籍化】
第2章 婚約者は嫉妬する?!
第9話 ハグの練習台
リアナ様との恋人つなぎ散策デートの翌朝。
私とガイゼル様は、アーノルト殿下の次のレッスンに向けて準備をしていた。
(一応、あのお二人は良い感じよね……?)
タイミングや距離感こそおかしかったが、昨日のお茶会でアーノルト殿下が少しリアナ様に近付けたことは事実だ。それにリアナ様の反応を見る限り、リアナ様の方もかなりアーノルト殿下に気持ちが向いていると見える。
近くにいた私に嫉妬したり、アーノルト殿下の振る舞いに照れて赤くなったりしていたのがその証拠だ。
リアナ様の方もアーノルト殿下を恋の相手として意識し始めているに違いない。リアナ様が私に代わってアーノルト殿下の運命の相手になる日も、遠い未来のことではない気がする。
(これなら、アーノルト殿下の誕生日の夜までには間に合うんじゃないかしら。次回の満月の夜の占いでは、リアナ様が運命の相手だという結果になっていますように……)
目を閉じて祈っていると、なぜだか私の胸や背中がチクチクと痛み始める。
侯爵令嬢のリアナ様がお相手ならば、アーノルト殿下だけでなくイングリス王国全体が大歓迎だろう。何と言ってもリアナ様のお姉様は、あの筆頭聖女候補のローズマリー様だ。それに父親であるヘイズ侯爵もこの国の政治の重鎮と聞く。
私とは違って、何もかも条件が整った素晴らしいお相手。
それなのになぜイングリス神は、私のことを殿下の『運命の相手』だと仰るのだろう。アーノルト殿下にふさわしいのは誰がどう考えたとて、私ではなくリアナ様なのに。
平民で落ちこぼれ聖女の私が殿下の隣に立つ姿なんて、想像するだけで体が震えてしまう。
(兜を取った殿下の姿を見てから、私ったら何だかおかしいわ。殿下のことを考えるとすごく懐かしい感じがして背筋がピリピリするの……)
「おい、ディア。今日はどんな馬鹿なレッスンをする気だ?」
珍しく深刻に悩んでいる私に、ガイゼル様は今日も刺々しい口調で声をかけてきた。
私とガイゼル様は、アーノルト殿下の次のレッスンに向けて準備をしていた。
(一応、あのお二人は良い感じよね……?)
タイミングや距離感こそおかしかったが、昨日のお茶会でアーノルト殿下が少しリアナ様に近付けたことは事実だ。それにリアナ様の反応を見る限り、リアナ様の方もかなりアーノルト殿下に気持ちが向いていると見える。
近くにいた私に嫉妬したり、アーノルト殿下の振る舞いに照れて赤くなったりしていたのがその証拠だ。
リアナ様の方もアーノルト殿下を恋の相手として意識し始めているに違いない。リアナ様が私に代わってアーノルト殿下の運命の相手になる日も、遠い未来のことではない気がする。
(これなら、アーノルト殿下の誕生日の夜までには間に合うんじゃないかしら。次回の満月の夜の占いでは、リアナ様が運命の相手だという結果になっていますように……)
目を閉じて祈っていると、なぜだか私の胸や背中がチクチクと痛み始める。
侯爵令嬢のリアナ様がお相手ならば、アーノルト殿下だけでなくイングリス王国全体が大歓迎だろう。何と言ってもリアナ様のお姉様は、あの筆頭聖女候補のローズマリー様だ。それに父親であるヘイズ侯爵もこの国の政治の重鎮と聞く。
私とは違って、何もかも条件が整った素晴らしいお相手。
それなのになぜイングリス神は、私のことを殿下の『運命の相手』だと仰るのだろう。アーノルト殿下にふさわしいのは誰がどう考えたとて、私ではなくリアナ様なのに。
平民で落ちこぼれ聖女の私が殿下の隣に立つ姿なんて、想像するだけで体が震えてしまう。
(兜を取った殿下の姿を見てから、私ったら何だかおかしいわ。殿下のことを考えるとすごく懐かしい感じがして背筋がピリピリするの……)
「おい、ディア。今日はどんな馬鹿なレッスンをする気だ?」
珍しく深刻に悩んでいる私に、ガイゼル様は今日も刺々しい口調で声をかけてきた。