落ちこぼれ聖女ですが、王太子殿下のファーストキスは私がいただきます!【書籍化】
故郷を離れ、一人で王都の神殿に聖女候補生としてやって来た。
辛いことがあっても、ローズマリー様が慰めてくれて元気になれた。
私がローズマリー様に癒されていた間に、ローズマリー様はせっせと私に呪いをかけ続けていたと?
(だから私の魔力は弱くなったんだ。ローズマリー様の呪いのせいで……)
「お人好しにも限度というものがあるわよね! イングリス山に行った時も、私の魔力が込められたランプを持って行ってくれたから楽だったわ。あなたの居場所も分かったし、恋占いに嘘の結果を出すことだって簡単だった。あなただけを洞窟に閉じ込めることだってできたでしょ? 人を信じすぎると痛い目に遭うわよ。さあ、アーノルト殿下。どうなさいますか?」
「……どう、とは?」
「まさか、私にキスをしたら十二時に呪いが解けておしまい! なんて思ってらっしゃらないでしょう?」
「……」
「殿下の呪いを解くためには、呪いをかけた本人である私とのキスが必要です。でも、私はこの呪いにもう一つ仕掛けを設けました。私にキスした瞬間に、殿下は私に恋をすることになるんですよ!」
「なんだと……?」
「だってせっかく私を選んで下さっても、その後で運命のお相手のところに逃げられたら叶いませんもの。私にキスをした瞬間に魅了の魔法が殿下に伝わって、私に恋をするんです。素敵でしょう?」
ローズマリー様は、どこまで悪事を積むのだろう。
神殿に預けられた時から、私たち聖女候補生は徹底的に鍛えられる。人の心を操る魔法や呪いの類は絶対禁忌であることも学んだはずだ。魅了魔法なんてとんでもない。
それなのに、殿下の心を操って自分に無理矢理恋をさせるだなんて!
(残された時間は少ないわ)
ローズマリー様は「恋占いに嘘の結果を出した」と言ったから、リアナ様が運命の相手かどうかも今となっては分からない。殿下の命を救うにはローズマリー様にファーストキスを捧げるしかない。
しかし、そうすれば殿下の心は操られ、ローズマリー様に恋をしてしまう。
(ローズマリー様と結婚するか、命を落とすか。そんな二択に追い込むなんて許せない)
辛いことがあっても、ローズマリー様が慰めてくれて元気になれた。
私がローズマリー様に癒されていた間に、ローズマリー様はせっせと私に呪いをかけ続けていたと?
(だから私の魔力は弱くなったんだ。ローズマリー様の呪いのせいで……)
「お人好しにも限度というものがあるわよね! イングリス山に行った時も、私の魔力が込められたランプを持って行ってくれたから楽だったわ。あなたの居場所も分かったし、恋占いに嘘の結果を出すことだって簡単だった。あなただけを洞窟に閉じ込めることだってできたでしょ? 人を信じすぎると痛い目に遭うわよ。さあ、アーノルト殿下。どうなさいますか?」
「……どう、とは?」
「まさか、私にキスをしたら十二時に呪いが解けておしまい! なんて思ってらっしゃらないでしょう?」
「……」
「殿下の呪いを解くためには、呪いをかけた本人である私とのキスが必要です。でも、私はこの呪いにもう一つ仕掛けを設けました。私にキスした瞬間に、殿下は私に恋をすることになるんですよ!」
「なんだと……?」
「だってせっかく私を選んで下さっても、その後で運命のお相手のところに逃げられたら叶いませんもの。私にキスをした瞬間に魅了の魔法が殿下に伝わって、私に恋をするんです。素敵でしょう?」
ローズマリー様は、どこまで悪事を積むのだろう。
神殿に預けられた時から、私たち聖女候補生は徹底的に鍛えられる。人の心を操る魔法や呪いの類は絶対禁忌であることも学んだはずだ。魅了魔法なんてとんでもない。
それなのに、殿下の心を操って自分に無理矢理恋をさせるだなんて!
(残された時間は少ないわ)
ローズマリー様は「恋占いに嘘の結果を出した」と言ったから、リアナ様が運命の相手かどうかも今となっては分からない。殿下の命を救うにはローズマリー様にファーストキスを捧げるしかない。
しかし、そうすれば殿下の心は操られ、ローズマリー様に恋をしてしまう。
(ローズマリー様と結婚するか、命を落とすか。そんな二択に追い込むなんて許せない)