落ちこぼれ聖女ですが、王太子殿下のファーストキスは私がいただきます!【書籍化】
私がローズマリー様に向かってそう言おうとした時、殿下が私の前に腕を差し出して制止した。
「殿下」
「ディア。私が話そう」
殿下は私に微笑み、そしてゆっくりと兜を脱いで地面に置いた。
「ローズマリー。私には自分の命を捨てるか、君の言うことを聞くか。どちらかの選択肢しかないようだ」
「私は、殿下とこれからも幸せに暮らしていきたいんです。私の言うことを聞いて、私にキスをして欲しいと思っていますわ」
「分かった。それではまず先にディアの呪いを解いてくれ。それが条件だ」
ローズマリー様の体の周りから、黒いモヤが消えていく。
しばらくポカンとしたあと、花が咲いたようにパッと笑ったローズマリー様は、嬉しそうに両手を頬に当てて殿下を見つめる。
「殿下! やっと私にキスをしてくれる気になったのですね! でも、ディアの呪いは殿下の呪いが解ければ同時に解けます。先に解呪する必要はありませんのよ」
「いや、関係のないディアを巻き込むわけにはいかない。一秒でも早く彼女を苦しみから解かなければ。ディアの呪いを先に解かないのならば、私は君にキスはしない」
「殿下……分かりましたわ。どうせ私にキスをしなければ殿下のお命はないのですから。ディアの呪いをいつ解くかなど、大した問題ではありませんものね」
ローズマリー様の右手からぽうっと現れた青白い光が、じわじわと私を包んだ。怖くて思わず殿下に抱きついたが、背中の痛みが嘘のように引いていくのが分かった。
「どうです? ディアの呪いは解きましたわ。次は殿下が約束を守る番ですわね」
ローズマリー様がそう言い終わらないうちに、時計台からは十二時を告げる鐘が鳴り始める。
「殿下」
「ディア。私が話そう」
殿下は私に微笑み、そしてゆっくりと兜を脱いで地面に置いた。
「ローズマリー。私には自分の命を捨てるか、君の言うことを聞くか。どちらかの選択肢しかないようだ」
「私は、殿下とこれからも幸せに暮らしていきたいんです。私の言うことを聞いて、私にキスをして欲しいと思っていますわ」
「分かった。それではまず先にディアの呪いを解いてくれ。それが条件だ」
ローズマリー様の体の周りから、黒いモヤが消えていく。
しばらくポカンとしたあと、花が咲いたようにパッと笑ったローズマリー様は、嬉しそうに両手を頬に当てて殿下を見つめる。
「殿下! やっと私にキスをしてくれる気になったのですね! でも、ディアの呪いは殿下の呪いが解ければ同時に解けます。先に解呪する必要はありませんのよ」
「いや、関係のないディアを巻き込むわけにはいかない。一秒でも早く彼女を苦しみから解かなければ。ディアの呪いを先に解かないのならば、私は君にキスはしない」
「殿下……分かりましたわ。どうせ私にキスをしなければ殿下のお命はないのですから。ディアの呪いをいつ解くかなど、大した問題ではありませんものね」
ローズマリー様の右手からぽうっと現れた青白い光が、じわじわと私を包んだ。怖くて思わず殿下に抱きついたが、背中の痛みが嘘のように引いていくのが分かった。
「どうです? ディアの呪いは解きましたわ。次は殿下が約束を守る番ですわね」
ローズマリー様がそう言い終わらないうちに、時計台からは十二時を告げる鐘が鳴り始める。