あと1㎝。(仮)

本編

「河野葉月」

この四文字は、今まで何度頭に浮かんできたのだろう。
数学の公式よりも、歴史で習った人物名よりも、英単語よりも、頭に浮かんでくるそれは、好きな人の名前なのに、鬱陶しくなるときさえある。

これも全てあの時のせい。
友達の井上真央(いのうえまお)が、あんなことさえ言わなければ、これほど苦しめられることはなかった。

意識してしまえば、下の名前同士で呼び合っていたことや、校舎が開く時間前にしょっちゅう喋っていたということが途端、緊張するようになってしまった。それほど恋というものは厄介だ。とても厄介なのだ。

葉月は別にとりわけイケメンというわけでもなかった。
昆虫博士と言われるほど昆虫が好きで、インコも大好き。家に5羽ほど飼っているようで、いつも話してくれる。スポーツは競技にもよるけれど、人並み以上。そんな彼だけれど、女子からかなりの人気があった。確か、下の名前で呼ぶようになってからだったかな。葉月が数人の女の子に”下の名前で呼んで”と、言ったところ人気が上がったらしい。ちなみに私もその一人。
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