英玲奈様は青い瞳に恋してる
『英玲奈って、学校で好きな子いるの?』
麗夜にそう聞かれたのは、小学校一年生の時だった。
小さい頃は、麗夜のママと私のママは仲良し姉妹だったから、よく安堂家に遊びに行ってたが、ママ達の話は退屈で、いつも麗夜が、話し相手をしてくれた。
私より六つ上の麗夜は、いつだって、穏やかで、大人に見えた。そして、たわいない会話のながれで、麗夜は、私に何気なく聞いたんだと思う。
『えと、いないけど。でも……おうじさまみたいなひとがいい……ひとみは、アーモンドがたのひと』
咄嗟に、半分本当の事を、半分は、嘘をついていた。
目の前の絵本に出てくる王子様みたいな、麗夜の藍色の瞳に見つめられて恥ずかしかったから。本当は、麗夜の夜空みたいな、大きな瞳が大好きだったから。
『颯って、英玲奈の好きなタイプだよね?』
颯が、康二おじ様の愛人の息子として、安堂家の籍に入った頃だった。お正月に安堂家にご挨拶に行った際、久しぶりに会った、麗夜から、そう声をかけられた。
『違うよっ、颯なんてタイプじゃないっ』
その頃、中学生だった私は、もう自分の中の麗夜への気持ちが、恋だと分かっていた。
高校を、卒業して、ロスの大学から一時帰国していた麗夜に会いたくて、安堂家の新年会に参加したのに、そんな事を言われて悲しかった事を思い出す。
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