英玲奈様は青い瞳に恋してる
「……英玲奈にまた怪我させてしまったね。ごめん」

麗夜は、私の左手の指先を絆創膏の上から、そっと撫でた。せっかく止まっていた涙は、麗夜から優しくされると、また真っ逆さまに落下していく。  

もうこれ以上は無理だ。

諦めきれなくなる。

「……麗夜、今から、アシスタントの子とデートでしょ。だから、邪魔だと思って捨てたの……拾ってくれてありがと。もう行って……」

「どうやら、勘違いしてるな」

「え?」

気づけば、麗夜のブロンドの髪が私の頬に重なって、身体全体があったかくなる。麗夜に抱きしめられている事に私は、遅れて気づく。

「麗、夜……?」

「ちゃんと盗み聞きするなら、最後まで聞いて欲しかったな。確かに、あの子にさっき告白されたけど、僕、断ったから」

私は、少しだけ体を離すと麗夜の藍色の瞳を見つめた。

「どして……?」

「僕には、小さい時から……気になるお姫様がいてね。その子は、ずっと、別の王子様が好きなのかと思ってたんだ……それに、僕よりそのお姫様は、随分歳下だから……僕の事は、兄のように、慕ってくれてるんだと思ってた。いや、そう思う事で自分が傷つかないようにしてた……自信が、なかったんだよ」
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