英玲奈様は青い瞳に恋してる
「……ひっく……ふ……ひっく……」 

もう綺麗な藍の夜空も麗夜の瞳も、涙で歪んで全部ぼやけて見える。

それでも、心はあったかい。目の前の王子様が、自分だけを見つめてくれる事が信じられなくて、嬉しくて、どうしようもなく幸せだ。

「さてと、そろそろ食べていいかな?僕、英玲奈のマフィン食べたくて、昼から何も、食べてないからさ」

「……中身大丈夫かな……」

紙袋は、くしゃくしゃだったが、中身のハートの箱は、綺麗なままだった。麗夜はリボンを、解くと、あっという間に歪なココアマフィンを、一口で口に放り込んだ。

「麗夜……その味……イマイチ?」

麗夜が、咀嚼しながら、クスッと笑う。

「美味しい。英玲奈が、夜なべして、作ってくれたからね」

「何で、それ知って……」

「いつも、英玲奈のTwittor欠かさずチェックしてて、昨日は、帰り遅かったの知ってるから」

真っ赤になった私を見下ろしながら、麗夜がいつものように頭をポンと撫でた。

そして、そっと私の頬に触れる。
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