英玲奈様は青い瞳に恋してる
「僕は、仕事かな。英玲奈は、この間の、フライデイに撮られてたモデル仲間の彼とデートかな?失恋の気晴らしに行っておいで」

麗夜は、にこりと笑うと、パソコンの電源を消して、書類を抱えると、コートを羽織る。おそらく、午後から、新しいシステムキッチン製作に携わる得意先との打ち合わせに出るのだろう。

「あれは、事務所の話題作りだもん!麗夜にも話したでしょ」

私は、精一杯の言葉で麗夜の大きな瞳を見つめた。

「毎年過ごしてたからって、僕に気を使わなくても大丈夫だよ」

「気なんて使ってないもん!」

唇を尖らせた私に、麗夜は、瞳を細めるとにこりと笑った。

「それに、これからも……麗夜のためなら、何でもできるよっ」

麗夜は、少しだけ瞳を見開くと、唇を引き上げる。

「英玲奈、有難う。でも副社長の座は、実力で奪ってみせるから、英玲奈にもう迷惑かけることもないからね、明日のバレンタインデーもお気になさらず」

(なんでそんな事いうの……)

「了解っ、じゃあデートしてこよーっと」

麗夜の顔が滲みそうで、慌てて、私はカシミヤのコートを手にかけると、いつものように
明るい声で、専務室を後にした。

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