英玲奈様は青い瞳に恋してる
これ以上、二人のことを盗み見する事ができなくなった私は、エレベーターに逆戻りする。エレベーターのボタンを押しながら、手に持っていた紙袋は、エレベーター脇のゴミ箱に放り込んだ。

「ひっく……ぐす……」

最悪のバレンタインデーだ。

こんな事なら、せめて、一度でもちゃんと告白すれば良かった。ちゃんと告白して、フラれてしまえば、もっと早くに麗夜への気持ちを断ち切れたかもしれないのに。

私は、泣いた顔を誰にも見られたくなくて、そのままエレベーターに乗り込み、屋上へと向かった。

屋上への扉を開ければ、すでに夜空は、月が輝き、星が瞬いている。私は、手すりに両腕を預けて、零れ落ちる涙をそのままに、暫く藍の空を眺めた。麗夜の瞳とおんなじ色。

「……ずっと好きだったのに……」

もう届くことのない思いは、夜風に乗って、誰にも聞かれずに消えていく。


「……麗夜……」

「見つけた」
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