少女達の青春群像 ~途切れなかった絆~
久し振りの同窓会
とうとう同窓会の日がやってきた。
響歌は昼頃に普通電車に乗り、ゆっくり3時間揺られて柏原に到着。そこには既に舞が迎えに来てくれていた。これから2人で『トミオム』へ行き、同窓会が始まるまで時間を潰すことになっている。2人の他には亜希と華世も来る予定だ。
歩は仕事があるので昼の集いには参加できない。6時半頃、華世の運転で歩の家まで迎えに行くことになっている。こずえはそのまま会場に向かうらしい。紗智はどうするのかわからないが、きっと橋本と来るのだろう。
店に行くと、亜希と華世は既に来ていた。同窓会も楽しみだが、実を言うとその前の集いも楽しみにしていた。
みんなそれぞれ別の道を歩んでいるので集まる機会が少なくなってきていた。やはり学生の時とはわけが違う。現に歩は今日も夕方まで仕事があり、この集まりには参加できないのだから。
仕事といえば、真子はどうなったのだろう。席に着いてすぐみんなに訊いてみても、みんな真子のことを知らなかった。
「さぁ、どうなったんだろう。でも、さすがに響ちゃんがまっちゃんのことで苦労することなんて無いでしょ。あの対応で正解だよ。まさかあの後、響ちゃんの方に連絡するとは思わなかったけどさ。普通は黒崎君の方にするよねぇ。私もそう言ったんだけどなぁ」
どうやら舞も、黒崎への連絡を勧めていたようだ。
「まっちゃんって、黒崎君の連絡先を知っているのに連絡しなかったんだ?」
華世は不思議そうだった。
「多分そうなんだろうね。でも、さすがに2、3日前に連絡するのは幹事の人も嫌でしょ。来るのならいいけど、結局は行かないかもしれないんだから」
亜希は真子に対して少し冷たかった。
だが、実際にそうなのだ。主催者側からしたら、できるだけ早く正確な人数を把握しておきたい。直前までわからないのなら、諦めて欲しいというのが本音だ。
「まっちゃんは響ちゃんに甘えていたんだよ。響ちゃんならなんとかしてくれるかもしれないって思ったんじゃない?」
舞は予想しているだけだったが、あながち間違ってはいないのかもしれない。亜希と華世はそう思ってしまった。
「本当にそうなら勘弁して欲しいわ。私は主催者じゃないんだから」
そう言って、溜息を吐く響歌。
「そういえば響ちゃんって、久し振りにさっちゃんと電話で話したんでしょ。どんな感じだった?」
亜希の言葉に、響歌は再び溜息を吐く。
「どうって、まぁ、普通なんじゃない。ただ、どこから同窓会の連絡がまわってきたのか訊いた時、少しどもりながら橋本君の名前を出したわよ」
やっぱり!
響歌以外の誰もが心の中でハモった。
「そりゃ、響ちゃんには言いにくいでしょうよ。だってハッシーは、以前は響ちゃんと怪しかったんだから。さっちゃんは高校の途中から響ちゃんの気持ちを知らなかったしね」
声に出して納得するのは舞だ。
「それにさっちゃんって、高校の時に自分の気持ちを白状しなかったでしょ。歩ちゃんがやっとの思いで訊いて、ようやくそれを匂わすことを言っただけでさ。それでいきなり橋本君とくっつくんだもん、後ろめたい気持ちはかなりあると思うよ」
その当時、華世は一連のことを知る立場ではなかったが、卒業してからそういったことをみんなから聞いていた。今ではどんなことが高校の時に起きていたのか大抵のことは知っている。だからこうして話題についていけているのだ。
そんな華世も、知った当初はみんなのことをかなり羨ましがっていた。自分の知らないところでこんなに面白いことがあったのだから、華世がそうなるのも当然だろう。他のみんなも同じような反応になるのではないだろうか。
華世は特に響歌と一度も同じクラスにならなかったことを悔やんでいた。大抵面白いことは響歌の近くから起こっていたからだ。
響歌とはコースも別だったので、込み入ったことを話すのにもかなり無理があった。それでも高校3年の夏期講習に参加していた響歌、それに智恵美とで講習の後に自分の家で座談会的なことをやっていたので、そうはいっても接触していた方だ。だから響歌の好きな人については、在学中に華世も智恵美も知っていた。
「それを見るのも面白いから、私からは橋本君の話題を出さないことにした。さっちゃんの方から切り出してくれるのはいったいいつになるんだろうね。もしかしたらこのままずっと言わないままかもしれないけど」
その可能性は非常に高かった。
それでも響歌は一向に構わなかった。紗智とのつき合いは、今では新年の挨拶のメールくらいになっているのだから。
「もしかしたら今日何か言うかもしれないよ。響ちゃん、どうする?」
舞が面白がっているのが明らかにわかったので、響歌は舞を少し睨む。
「どうするも、何も、その時は話を聞くわよ。何を話すのか、私も興味があるもの。今日は遅れて来るらしいから、そんな時間なんて無いと思うけどね」
紗智は何も話さないだろう。時間も少ない中、しかも周囲が賑やかな中で白状できるのなら、既に高校の時に白状できているはずなのだから。
「それよりも、今日はヌラも参加するかもしれないのに、ムッチーもよく参加する気になったわね。しかも片道何時間もかけて」
「なっ、響ちゃんってば、なんでこんな日にそんな人の名前をわざわざ出すのよ!」
「こんな日だからこそ、出したんだけど?」
その通りのことを答える響歌。
「確かにそうだ」
「そう、そう」
亜希と華世も加勢する。
「ま、まぁね、私ももう結婚したからさ。それにあの人が来るとは限らないでしょ」
要するに、もう逃げなくても大丈夫と言いたいのだろう。
「まぁ、いつまでも逃げていられないしね」
卒業してから5年以上経つ。舞も結婚した。もう逃げなくてもいいだろうとは、響歌も密かに思っていた。
それでも率先して話しかけたくはないけれど。
「今日は来るのかなぁ。響ちゃんは黒崎君に聞いていないの?」
華世が訊ねたけど、そこまでは知らない。
「私が聞いたのは、カナちゃんと高尾君だけ。そんなに根掘り葉掘り聞いていないわよ。そもそも最初は参加しないつもりだったんだから。結局はあの人の執念に負けたけどね」
その時のことを思い出して、響歌は疲れてしまった。
「響ちゃん、黒崎君には弱いもんね」
何故か、舞がニヤニヤしている。
「何よ、その顔。何か勘違いをしているでしょ。私はもう高校の時とは違うのよ」
「はい、はい、わかっていますよ。響ちゃんはこの夏に大失恋したもんね。まだその傷が癒えていないんだよね」
舞は響歌に同意しながらも、やはりニヤニヤしている。
「でもさ、失恋には新しい男だって言うよ」
華世までニヤニヤしている。
「それに黒崎君の方も失恋したんでしょ。人妻に、だけど」
だから傷をなめ合えとでも言いたいのだろうか、亜希は。
「無謀な挑戦をしていたみたいよね。で、9月頃に本格的に振られたんだって。電話かけた時に『振られちゃったの~』『頑張ったんだけどな~』って嘆いていたから」
「そういえば響ちゃんって、その頃に黒崎君の家に行ったんでしょ。確か引っ越ししてから初めて女の子を部屋に招いようなことを黒崎君に言われたって、話していたよね」
舞は本当に余計なことを言い出してくれる。
「まぁ、そうみたいだけど。その時はデザインで使いたいものを私が持っていたから貸してあげただけよ。それは家に行かないとできないことだったからやむを得ないことだったの」
あの時もこう言ったはずなのに、なんでムッチーはその部分をすっぽりと無くすのかな。
「今日も一緒に行けばいいのに。わざわざ向こうから言ってくれたんでしょ、迎えに行こうかって」
亜希ちゃんも余計なことを言わないで!
「じゃあ、響ちゃんだけここに置いていくから、黒崎君とごゆっくり…」
華世ちゃんまでそんなことを言い出したわよ。
「ちょっと、からかわないで。そもそも私はもう断っているの。さすがに2人で登場したらまずいでしょ。噂はもうごめんなの。黒崎君にも迷惑がかかるしね!」
みんな、もしかして誤解している?
「いやぁ、それにしたって、橋本君の次は黒崎君って。やっぱりケリは高校の時につけておくべきだったのかもよ。今になって、出るわ、出るわ…」
「華世ちゃん!」
「まさか卒業後に2人の方から連絡が来るなんてねぇ。黒崎君の方は用件有だったけど、それだってなかなか無いことだよ」
亜希はしなくてもいい感心をしている。
「響ちゃん、あの占い機って凄かったんだね。だって88%と92%だもんね。やっぱり92%の黒崎君が正しかったんだよ!」
いつの頃の話をしているのか。
「ムッチー、何よ、その88%と92%って?」
その場にいなかった華世が、舞に訊ねた。口には出していないが、亜希も知りたそうだ。
「実はね、高校2年の時に私と響ちゃん、それにまっちゃんが相性占いをしたの。その占い機って、ゲーセンのやつなのに五百円もしたんだよ。でもね、さすが五百円なのか結構当たっていたんだ。だって私とヌラの相性が45%だったんだもん。まっちゃんと高尾君が40%だったかな。それなのに響ちゃんのだけが異様に高かったの。ハッシーとが88%で、黒崎君が92%だったんだから。しかも的確なアドバイスだったしさ。いやぁ、あれは凄かった」
本当に余計なことを覚えてくれている。
「それはまた凄いね」
華世は目を丸くしている。
「しかもまっちゃんが一番低かったなんて。当たり過ぎて怖いわよ」
真子のことを例に出したのは亜希だ。
そんなことを話していたら、あっという間に歩を迎えに行く時間になった。今回、車を出してくれるのは華世だ。みんなは華世に礼を言いながら車に乗り込み、歩の家に出発した。
響歌は昼頃に普通電車に乗り、ゆっくり3時間揺られて柏原に到着。そこには既に舞が迎えに来てくれていた。これから2人で『トミオム』へ行き、同窓会が始まるまで時間を潰すことになっている。2人の他には亜希と華世も来る予定だ。
歩は仕事があるので昼の集いには参加できない。6時半頃、華世の運転で歩の家まで迎えに行くことになっている。こずえはそのまま会場に向かうらしい。紗智はどうするのかわからないが、きっと橋本と来るのだろう。
店に行くと、亜希と華世は既に来ていた。同窓会も楽しみだが、実を言うとその前の集いも楽しみにしていた。
みんなそれぞれ別の道を歩んでいるので集まる機会が少なくなってきていた。やはり学生の時とはわけが違う。現に歩は今日も夕方まで仕事があり、この集まりには参加できないのだから。
仕事といえば、真子はどうなったのだろう。席に着いてすぐみんなに訊いてみても、みんな真子のことを知らなかった。
「さぁ、どうなったんだろう。でも、さすがに響ちゃんがまっちゃんのことで苦労することなんて無いでしょ。あの対応で正解だよ。まさかあの後、響ちゃんの方に連絡するとは思わなかったけどさ。普通は黒崎君の方にするよねぇ。私もそう言ったんだけどなぁ」
どうやら舞も、黒崎への連絡を勧めていたようだ。
「まっちゃんって、黒崎君の連絡先を知っているのに連絡しなかったんだ?」
華世は不思議そうだった。
「多分そうなんだろうね。でも、さすがに2、3日前に連絡するのは幹事の人も嫌でしょ。来るのならいいけど、結局は行かないかもしれないんだから」
亜希は真子に対して少し冷たかった。
だが、実際にそうなのだ。主催者側からしたら、できるだけ早く正確な人数を把握しておきたい。直前までわからないのなら、諦めて欲しいというのが本音だ。
「まっちゃんは響ちゃんに甘えていたんだよ。響ちゃんならなんとかしてくれるかもしれないって思ったんじゃない?」
舞は予想しているだけだったが、あながち間違ってはいないのかもしれない。亜希と華世はそう思ってしまった。
「本当にそうなら勘弁して欲しいわ。私は主催者じゃないんだから」
そう言って、溜息を吐く響歌。
「そういえば響ちゃんって、久し振りにさっちゃんと電話で話したんでしょ。どんな感じだった?」
亜希の言葉に、響歌は再び溜息を吐く。
「どうって、まぁ、普通なんじゃない。ただ、どこから同窓会の連絡がまわってきたのか訊いた時、少しどもりながら橋本君の名前を出したわよ」
やっぱり!
響歌以外の誰もが心の中でハモった。
「そりゃ、響ちゃんには言いにくいでしょうよ。だってハッシーは、以前は響ちゃんと怪しかったんだから。さっちゃんは高校の途中から響ちゃんの気持ちを知らなかったしね」
声に出して納得するのは舞だ。
「それにさっちゃんって、高校の時に自分の気持ちを白状しなかったでしょ。歩ちゃんがやっとの思いで訊いて、ようやくそれを匂わすことを言っただけでさ。それでいきなり橋本君とくっつくんだもん、後ろめたい気持ちはかなりあると思うよ」
その当時、華世は一連のことを知る立場ではなかったが、卒業してからそういったことをみんなから聞いていた。今ではどんなことが高校の時に起きていたのか大抵のことは知っている。だからこうして話題についていけているのだ。
そんな華世も、知った当初はみんなのことをかなり羨ましがっていた。自分の知らないところでこんなに面白いことがあったのだから、華世がそうなるのも当然だろう。他のみんなも同じような反応になるのではないだろうか。
華世は特に響歌と一度も同じクラスにならなかったことを悔やんでいた。大抵面白いことは響歌の近くから起こっていたからだ。
響歌とはコースも別だったので、込み入ったことを話すのにもかなり無理があった。それでも高校3年の夏期講習に参加していた響歌、それに智恵美とで講習の後に自分の家で座談会的なことをやっていたので、そうはいっても接触していた方だ。だから響歌の好きな人については、在学中に華世も智恵美も知っていた。
「それを見るのも面白いから、私からは橋本君の話題を出さないことにした。さっちゃんの方から切り出してくれるのはいったいいつになるんだろうね。もしかしたらこのままずっと言わないままかもしれないけど」
その可能性は非常に高かった。
それでも響歌は一向に構わなかった。紗智とのつき合いは、今では新年の挨拶のメールくらいになっているのだから。
「もしかしたら今日何か言うかもしれないよ。響ちゃん、どうする?」
舞が面白がっているのが明らかにわかったので、響歌は舞を少し睨む。
「どうするも、何も、その時は話を聞くわよ。何を話すのか、私も興味があるもの。今日は遅れて来るらしいから、そんな時間なんて無いと思うけどね」
紗智は何も話さないだろう。時間も少ない中、しかも周囲が賑やかな中で白状できるのなら、既に高校の時に白状できているはずなのだから。
「それよりも、今日はヌラも参加するかもしれないのに、ムッチーもよく参加する気になったわね。しかも片道何時間もかけて」
「なっ、響ちゃんってば、なんでこんな日にそんな人の名前をわざわざ出すのよ!」
「こんな日だからこそ、出したんだけど?」
その通りのことを答える響歌。
「確かにそうだ」
「そう、そう」
亜希と華世も加勢する。
「ま、まぁね、私ももう結婚したからさ。それにあの人が来るとは限らないでしょ」
要するに、もう逃げなくても大丈夫と言いたいのだろう。
「まぁ、いつまでも逃げていられないしね」
卒業してから5年以上経つ。舞も結婚した。もう逃げなくてもいいだろうとは、響歌も密かに思っていた。
それでも率先して話しかけたくはないけれど。
「今日は来るのかなぁ。響ちゃんは黒崎君に聞いていないの?」
華世が訊ねたけど、そこまでは知らない。
「私が聞いたのは、カナちゃんと高尾君だけ。そんなに根掘り葉掘り聞いていないわよ。そもそも最初は参加しないつもりだったんだから。結局はあの人の執念に負けたけどね」
その時のことを思い出して、響歌は疲れてしまった。
「響ちゃん、黒崎君には弱いもんね」
何故か、舞がニヤニヤしている。
「何よ、その顔。何か勘違いをしているでしょ。私はもう高校の時とは違うのよ」
「はい、はい、わかっていますよ。響ちゃんはこの夏に大失恋したもんね。まだその傷が癒えていないんだよね」
舞は響歌に同意しながらも、やはりニヤニヤしている。
「でもさ、失恋には新しい男だって言うよ」
華世までニヤニヤしている。
「それに黒崎君の方も失恋したんでしょ。人妻に、だけど」
だから傷をなめ合えとでも言いたいのだろうか、亜希は。
「無謀な挑戦をしていたみたいよね。で、9月頃に本格的に振られたんだって。電話かけた時に『振られちゃったの~』『頑張ったんだけどな~』って嘆いていたから」
「そういえば響ちゃんって、その頃に黒崎君の家に行ったんでしょ。確か引っ越ししてから初めて女の子を部屋に招いようなことを黒崎君に言われたって、話していたよね」
舞は本当に余計なことを言い出してくれる。
「まぁ、そうみたいだけど。その時はデザインで使いたいものを私が持っていたから貸してあげただけよ。それは家に行かないとできないことだったからやむを得ないことだったの」
あの時もこう言ったはずなのに、なんでムッチーはその部分をすっぽりと無くすのかな。
「今日も一緒に行けばいいのに。わざわざ向こうから言ってくれたんでしょ、迎えに行こうかって」
亜希ちゃんも余計なことを言わないで!
「じゃあ、響ちゃんだけここに置いていくから、黒崎君とごゆっくり…」
華世ちゃんまでそんなことを言い出したわよ。
「ちょっと、からかわないで。そもそも私はもう断っているの。さすがに2人で登場したらまずいでしょ。噂はもうごめんなの。黒崎君にも迷惑がかかるしね!」
みんな、もしかして誤解している?
「いやぁ、それにしたって、橋本君の次は黒崎君って。やっぱりケリは高校の時につけておくべきだったのかもよ。今になって、出るわ、出るわ…」
「華世ちゃん!」
「まさか卒業後に2人の方から連絡が来るなんてねぇ。黒崎君の方は用件有だったけど、それだってなかなか無いことだよ」
亜希はしなくてもいい感心をしている。
「響ちゃん、あの占い機って凄かったんだね。だって88%と92%だもんね。やっぱり92%の黒崎君が正しかったんだよ!」
いつの頃の話をしているのか。
「ムッチー、何よ、その88%と92%って?」
その場にいなかった華世が、舞に訊ねた。口には出していないが、亜希も知りたそうだ。
「実はね、高校2年の時に私と響ちゃん、それにまっちゃんが相性占いをしたの。その占い機って、ゲーセンのやつなのに五百円もしたんだよ。でもね、さすが五百円なのか結構当たっていたんだ。だって私とヌラの相性が45%だったんだもん。まっちゃんと高尾君が40%だったかな。それなのに響ちゃんのだけが異様に高かったの。ハッシーとが88%で、黒崎君が92%だったんだから。しかも的確なアドバイスだったしさ。いやぁ、あれは凄かった」
本当に余計なことを覚えてくれている。
「それはまた凄いね」
華世は目を丸くしている。
「しかもまっちゃんが一番低かったなんて。当たり過ぎて怖いわよ」
真子のことを例に出したのは亜希だ。
そんなことを話していたら、あっという間に歩を迎えに行く時間になった。今回、車を出してくれるのは華世だ。みんなは華世に礼を言いながら車に乗り込み、歩の家に出発した。