少女達の青春群像 ~途切れなかった絆~
衝撃のニュース
響歌が都会に出てから3年が過ぎた。専門学校も卒業して、早々と就職を決めた会社で4月から働いている。
暑かった夏も、もう終わりに近づいてきていた。すっかり都会の生活に順応しているが、高校時代の友達とも絆は健在だ。
それでもサークルの活動は社会人になったのをきっかけに終わりにした。残業が多い職場だったので、続けることが困難になったのだ。
この3年の間に、舞は友達の紹介で彼氏ができた。亜希も同じ会社の人から告白されてつき合っている。歩は今は彼氏がいないが、それでも男の人とつき合う寸前になったりして彼女なりに恋愛を楽しんでいるようだ。響歌もいってみれば歩よりで、男友達はまわりにいるが…の状態だった。はっきりいってその方が気楽で、敢えてそっちを選んでいるというのもある。
他のグループの人達はというと、こずえだけは早々と同じ会社の人と結婚したが、みんな独身生活を謳歌していた。
そんな時、ビッグニュースが飛び込んできた。
なんと紗智と橋本がつき合うことになったのだ!
実は8月15日、柏原市内のホテルで比良木高校経済科の同窓会が開催されていた。何年か前のような略したものではなく、当時の4、5組の生徒全員の家に案内のハガキが届いたきちんとしたものだった。だからもちろん全員がその日に同窓会があることを知っている。
だが、響歌達は行かなかった。自分達のグループの中で行った人などいないだろうとも思っていた。
というのも、その同窓会の幹事が中葉だったからだ。
さすがに中葉が幹事をする会になど参加したくない。それを理由に、響歌と舞は即断った。参加しないにチェックを入れ、現在の住所も書かずに返信した。他のみんなも中葉にはいいイメージが無かったし、響歌と舞が行かないこともわかっていたので不参加だ。15日に柏原市で花火大会があるので、それに恋人と行きたいといった理由で不参加にした者もいる。
だが、紗智だけは参加していた。その彼女からのメッセージによると『肉はまずく、人も来ず、面白くなかった』らしい。肉がマズイというのは、食事が焼肉だったのでその肉のことを言っているのだろう。
響歌にはそんなメッセージしかなかったが、やはり一番仲が良かった真子に対しては違った。橋本とつき合うことになったと報告があり、『応援して下さい』といった文が書いてあったのである。
歩はその報告を聞いて、同窓会に行かなかったことを少しだけ後悔した。何故そうなったのか知りたかったのだ。紗智に探りを入れても詳しくは教えてくれないだろう。自分とはあまり縁が無い橋本からの方が情報を聞きだせると確信できる程、彼女は口が堅かったからだ。恋愛事になると特に、だ。
自分の友達に恋人ができたのだから喜ぶべきなのだろうが、モヤモヤして仕方がない。
放課後、紗智に橋本について一生懸命探っていたのに、その度に交わされていたのだ。歩がそんな気持ちになってもおかしくはない。『やっぱり好きだったんでしょ!』と責めたいくらいだ。響歌達に『なんか、いやらしいよね』と愚痴ったりもしていた。
確かにどのような経緯でつき合ったのか興味はあるが、わからないままになるだろう。だから諦めていたのだが、予想外なところから情報が入った。
それはその同窓会の幹事だった中葉と、ある人物からだった。
中葉はまだ舞のことを諦めきれないらしく、舞の実家に同窓会のレポートと自作のCDを送ってきた。もちろん舞は、響歌達をパソコンの前に召集させてそのことを報告。みんなが盛り上がったのは言うまでもない。
中葉幹事の同窓会は『成人記念同窓会』といった仰々しい題がついていたにも関わらず、参加人数がとても少なかった。それでも男子の参加率は高く、他県に転勤になった山田以外の男子はみんな参加していた。それに対して、女子は10人もいなかった。
中葉がわざわざ参加者を書いていたわけではない。レポートは参加メンバーの全体写真入りだったのでそういったことがわかったのだ。それでもカラーコピーでぼやけていたので大体しかわからなかったのだが。
その日は焼肉を食べて解散しただけではなかった。その後に1時間くらいかけて海の方までドライブに行き、柏原に戻ってから花火も一緒に見たらしい。少人数だからこそできたことだろう。その花火を見る時に事件は起こった。
中葉のレポートに『なんと橋本と河合さんが消えた!』と書いてあったのだ。
多分、橋本が勝負に出たのだろう。響歌はそう予想した。
暑かった夏も、もう終わりに近づいてきていた。すっかり都会の生活に順応しているが、高校時代の友達とも絆は健在だ。
それでもサークルの活動は社会人になったのをきっかけに終わりにした。残業が多い職場だったので、続けることが困難になったのだ。
この3年の間に、舞は友達の紹介で彼氏ができた。亜希も同じ会社の人から告白されてつき合っている。歩は今は彼氏がいないが、それでも男の人とつき合う寸前になったりして彼女なりに恋愛を楽しんでいるようだ。響歌もいってみれば歩よりで、男友達はまわりにいるが…の状態だった。はっきりいってその方が気楽で、敢えてそっちを選んでいるというのもある。
他のグループの人達はというと、こずえだけは早々と同じ会社の人と結婚したが、みんな独身生活を謳歌していた。
そんな時、ビッグニュースが飛び込んできた。
なんと紗智と橋本がつき合うことになったのだ!
実は8月15日、柏原市内のホテルで比良木高校経済科の同窓会が開催されていた。何年か前のような略したものではなく、当時の4、5組の生徒全員の家に案内のハガキが届いたきちんとしたものだった。だからもちろん全員がその日に同窓会があることを知っている。
だが、響歌達は行かなかった。自分達のグループの中で行った人などいないだろうとも思っていた。
というのも、その同窓会の幹事が中葉だったからだ。
さすがに中葉が幹事をする会になど参加したくない。それを理由に、響歌と舞は即断った。参加しないにチェックを入れ、現在の住所も書かずに返信した。他のみんなも中葉にはいいイメージが無かったし、響歌と舞が行かないこともわかっていたので不参加だ。15日に柏原市で花火大会があるので、それに恋人と行きたいといった理由で不参加にした者もいる。
だが、紗智だけは参加していた。その彼女からのメッセージによると『肉はまずく、人も来ず、面白くなかった』らしい。肉がマズイというのは、食事が焼肉だったのでその肉のことを言っているのだろう。
響歌にはそんなメッセージしかなかったが、やはり一番仲が良かった真子に対しては違った。橋本とつき合うことになったと報告があり、『応援して下さい』といった文が書いてあったのである。
歩はその報告を聞いて、同窓会に行かなかったことを少しだけ後悔した。何故そうなったのか知りたかったのだ。紗智に探りを入れても詳しくは教えてくれないだろう。自分とはあまり縁が無い橋本からの方が情報を聞きだせると確信できる程、彼女は口が堅かったからだ。恋愛事になると特に、だ。
自分の友達に恋人ができたのだから喜ぶべきなのだろうが、モヤモヤして仕方がない。
放課後、紗智に橋本について一生懸命探っていたのに、その度に交わされていたのだ。歩がそんな気持ちになってもおかしくはない。『やっぱり好きだったんでしょ!』と責めたいくらいだ。響歌達に『なんか、いやらしいよね』と愚痴ったりもしていた。
確かにどのような経緯でつき合ったのか興味はあるが、わからないままになるだろう。だから諦めていたのだが、予想外なところから情報が入った。
それはその同窓会の幹事だった中葉と、ある人物からだった。
中葉はまだ舞のことを諦めきれないらしく、舞の実家に同窓会のレポートと自作のCDを送ってきた。もちろん舞は、響歌達をパソコンの前に召集させてそのことを報告。みんなが盛り上がったのは言うまでもない。
中葉幹事の同窓会は『成人記念同窓会』といった仰々しい題がついていたにも関わらず、参加人数がとても少なかった。それでも男子の参加率は高く、他県に転勤になった山田以外の男子はみんな参加していた。それに対して、女子は10人もいなかった。
中葉がわざわざ参加者を書いていたわけではない。レポートは参加メンバーの全体写真入りだったのでそういったことがわかったのだ。それでもカラーコピーでぼやけていたので大体しかわからなかったのだが。
その日は焼肉を食べて解散しただけではなかった。その後に1時間くらいかけて海の方までドライブに行き、柏原に戻ってから花火も一緒に見たらしい。少人数だからこそできたことだろう。その花火を見る時に事件は起こった。
中葉のレポートに『なんと橋本と河合さんが消えた!』と書いてあったのだ。
多分、橋本が勝負に出たのだろう。響歌はそう予想した。